更年期ケアは「血行をよくする」こと!美ボディのプロが処世術を伝授|久 優子
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最終更新日2023.03.27
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女性の体は月経の始まりから妊娠・出産、閉経と年齢を重ねるごとに変化をしていきます。
特に40代を過ぎたあたりから気になり始めるのが更年期による体の不調。
一般的には閉経を挟んだ前後5年として、45-55歳の10年間ほどが更年期とされていますが、最近では30代後半から40代前半にかけて、疲れやすくなったり、体力の衰えを感じるなど「プレ更年期」と呼ばれる更年期と似た症状が起こることもあります。
厚生労働省が令和4年3月に実施した「更年期症状・障害に関する意識調査」によれば、自分自身が更年期なのではないかと疑っている(疑ったことがある)人の割合は40~49歳で 28.3%、50~59歳で 38.3%と、実際に医療機関に受診をして診断された人に比べて約5倍となっています。
参照:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」より
(全国の 20 歳から 64 歳の女性 2,975 人、男性 2,025 人(いずれも回収数)を対象)
更年期によく出てくる症状はホットフラッシュやのぼせ、発汗、頭痛や冷え、鬱やイライラ、動悸・息切れ・めまい、不眠など様々ですが、その原因の一つは閉経に伴う女性ホルモンのバランスの乱れにあるとされています。
さらに年齢を重ねることによる体力の衰えや代謝・筋力の低下も加わって体の巡りは悪くなるばかり。
「更年期のこうしたトラブルをケアするためには、まず自分と向き合い、血の巡りをよくすることが重要」だと話すのは美脚トレーナーで知られる「久 優子」さん。
ご自身はアラフィフでありながら、更年期に起こりやすい体調の変化を感じていないとおっしゃる久さんに、更年期と上手に付き合うコツとケア方法についてお話を伺いました。
脚のパーツモデルを経て、ホリスティック医学の第一人者である帯津良一医師に師事。予防医学健康美協会・日本リンパセラピスト協会・日本痩身医学協会・日本未病プラン協会で認定を受け、講師としても活動。その後もさまざまな分野で独自の研究を重ね、現在のボディメンテナンスメソッドを確立。ボディメンテナンスサロン 美・Consciousは 身体のバランスを整える駆け込みサロンとして有名人のファンも多い。「押したら、やせた。」「韓国式美やせ7日間メソッド」など著書16冊、累計発行部数32万部の人気美容家。
オフィシャルサイト:http://yhbody.com/
オフィシャルブログ: https://ameblo.jp/yhbody/
更年期不調の原因は「ホルモン」だけじゃない!「血の巡り」に着目
「更年期と聞くと、どうしてもネガティブに捉えがちですよね。
月経が不順になり、疲れやすく、イライラすることが多くなり、さらにはホットフラッシュや憂鬱な気分になりがちに…。
でも体の構造、特に子宮の構造や卵巣の働きを知ることでその恐怖や不安を解消することができるのです。
つまり自分の体と向き合い、メカニズムをきちんと理解し、どうすればよいかを知っていれば、前向きに捉えられるのではないかと思うのです。」
まずは自分の体と向き合い、知ることがケアの第一歩。更年期のケアはホルモンだけでなく、その根幹にある「血の巡り」にも着目すべきだと久さんは語ります。
「更年期に大きな影響を与える“ホルモン”。そのホルモンは卵巣で作られ、分泌されるため卵巣の働きがとても重要な役割を担っています。
そしてその働きをよくするのがズバリ「血の巡り」なのです。つまり血の巡りが良いと「卵巣」の機能が正常になり、体全体の巡りをよくすることにもつながるのです。
私自身、まだ更年期の症状は感じていませんが、更年期に関するご質問をいただいて、改めて考えてみました。振り返ってみると40-45歳のプレ更年期といわれる頃から、腰まわりに少し肉がつき、お尻の形が変わったと感じました。新陳代謝が低下し、ホルモンの影響でむくみやすくなることに加え、脂肪過多になることで血流の悪さを引き起こすのです。
一般的には40~45歳頃に「プレ更年期」を迎え、子宮がある下腹部の裏側となる腰のまわりに変化が出てきます。
45~50歳で更年期が始まり、50-55歳で閉経を迎え、更年期が終わります。
50代になると20代の頃に比べて筋肉量もずいぶんと減ってしまうため、血行が悪くなることも容易に考えられます。
むくみや冷えも生じやすくなりますし、代謝も落ちてくるので脂肪が溜まりやすくなったり、関節が硬くなったり。
さらにホルモン分泌量が減ることで骨密度も下がってきます。
人生100年時代と言われる現代において、特に女性はプレ更年期(40~45歳)から更年期(45~50歳)
をどう過ごすかによって、その先の生き方が変わってくると思うんです。
女性として生まれてきたからには避けられない宿命ですから、どうやり過ごせるかを考える必要があります。
そこで推奨したいのは「血の巡り」をよくすること。更年期を遅らせるために血流をよくすること・冷えを改善することはとても重要なのです。
まずは体の内側に目を向け、巡りをよくすることからスタートしましょう」。
「たたく」ことで血行をよくして、体の巡りをよくする。
体の巡りをよくするために最も有効なのは「体を温める」こと。カイロなどで体を表面的に温めるのではなく、体の内側から温める必要があります。
そのためには「運動」で筋肉を動かすことがとても有効なのです。
しかしながら日常的に体を動かしていない人にとっては「運動」と聞くとハードルが上がる気がするのも事実。
そこで久さんが推奨しているのは「叩くこと」。
運動より手軽で効果も実感してきた久さんならではの独自メソッドです。
「筋肉を動かすのは“叩くだけ”でいいんです。例えば「運動」と聞くと、一生懸命やらなければならないように感じられ、気分がのらないとなかなかアクションを起こしにくいですよね。
それなら日常生活の中で気軽に取り入れられるものから上手に取り入れた方がいいですから。
「たたいたら、ヤセた」(宝島社)の本でも記述していますが、叩くのは隙間時間でできますし、筋肉に直接アプローチでき、叩くことでリンパや血管にも振動を会えることができるため血行がよくなるのです」。
手で叩く時には、手をグーに握って親指側で満遍なく叩くことで体の深部に振動を響かせることができ、短時間で体の中からぽかぽかと温かくなるのだそうです。
「体を叩く回数や時間の目安は、叩いた部分がポカポカするまで。「温かくなってきた」「軽くなってきた」と感じられたら、筋肉にきちんとアプローチができていると証拠です。
その人の体質やその時の体調によって感じ方は異なりますが、やっていて自分が温かいと思うくらいを目安にするといいですね」。
大切なのは毎日続けること。週に1度1時間運動するよりも毎日10分でも叩くことを継続する方が有効だと久さん。
体全体の巡りがよくなると、更年期の不調だけでなく健康な体づくりを促進することにも繋がります。これなら運動が苦手な人でも気軽に始められそうですね。
更年期ケア ライフスタイル編
更年期のさまざまなトラブルに備える、あるいは改善するために体の巡りをよくすることは前述してきた通りですが、その方法は多岐に渡ります。体を叩いたり動かしたりして温めることのほか、食生活や睡眠など、生活全般見つめ直すことも必要だと久さん。ここからは運動に付随して大切だと久さんが考える更年期を乗りきるヒントとなる「食」と「睡眠」についてご紹介していきます。
食事はきちんとバランスよく。日本古来の食生活を見つめ直す
更年期はもちろん、健康な生活を送るためには、毎日の食生活も大切。食は体を支える根本なので、体に必要な栄養素をバランスよく摂り入れることが重要です。
●朝食は目覚めの一食。抜かずにきちんと食べましょう。ただし、朝のフルーツは体を冷やしてしまうので控えめに。
●日本人の体質に合うのはやはり和食。ご飯に味噌汁、納豆といった和の食生活に戻して体質改善を!
●食事は3食をバランスよく摂取。1日の食事の割合は朝・昼しっかり夜を軽くして。
寝る時の準備も大切。眠る前にしたいこと
更年期になって、眠りが浅くなった、夢を見るといった方も多いのではないでしょうか。そこでここでは良質な睡眠のために実践している工夫をご紹介していきます。
●帰宅後は灯りを暗めにしてリラックス。寝る前のストレッチで眠りの質も向上。
●お風呂は湯船に浸かって体を温めて。湯船の中で足首をまわす、洗いながらさすり体をほぐすのも◎
●良質な睡眠は枕から。枕の高さは低めに。寝る前のスマホはなるべく避けましょう!
更年期 ボディケア篇 HOWTO、ストレッチ
40代を過ぎると代謝が下がってむくみがちになったり、血行が滞ったりして身体の巡りが悪くなり、不調が出やすくなります。特に筋肉の緊張によって発生するさまざまなトラブルへのケアは必至。
そこで、今回は久さんも家で実践なさっているトレーニングの中から、鍛えておきたい骨盤底筋セルフケアを3つほど教えていただきました。簡単にできるものばかりなので、できそうなものからチャレンジしてみましょう。
【電動フォームローラーを使用したトレーニング】
*太もも全体に振動を与え、刺激することで筋肉がほぐれ、股関節が柔らかくなります。
骨盤底筋を鍛えることもでき、更年期に起こりやすい尿もれなどにも効果あり!
【ハンディガンを使用したトレーニング】
*面を身体に並行に当ててください。
*レベルは1からスタートしましょう。
*くるくると回し続けるとフワッと足が軽くなる瞬間があるので、
それを感じるまで続けてみましょう。
【道具を使用しない強化トレーニング】
*目安は3セットですが、難しい場合は1セットでもOKです。
*腰が落ちないように注意しましょう。
*呼吸は止めず、ゆっくり呼吸をするように意識しましょう。
最後に
局所的なアプローチより体のどの部分に聞かせるかを明確にし、意識しながら行うのがよいと久さん。
世の中が便利になり、なんでも手軽に手に入る生活は、人間本来の機能を低下させることにも繋がります。更年期を元気に乗りきるのは、体のメカニズムや卵巣の働きについて正しく知り、自分の体に関心を持ち「自分にとっていいことは何か?」「体が欲していることは何か?」と考えることが必要だと思います。