賢く痩せる! プロに学ぶ食事術。体を燃やす“食べる筋トレ”とは? |谷川俊平
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最終更新日2023.10.02
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ダイエットは過度な食事制限をして体重を減らすのではなく、食事とトレーニングの両面からアプローチして筋肉の量を増やすことが重要。なぜなら筋肉がつくと代謝がよくなりウエイトコントロールがしやすくなるからです。そんな痩せやすい体を作るためには「食事9割、筋トレ1割で実践するのが効率的」と提唱する谷川俊平さんに、食べて痩せる方法についてお聞きしました。
福岡大学スポーツ科を卒業後、アスリートや芸能人が多く通うスポーツジム「TOTAL Workout」で約10年間、パーソナルトレーナーとしてボディメイクを担当。その時「体づくりにはトレーニングと、バランスのいい食事が欠かせない」と気づいたのをきっかけに、2015年に高タンパク、低カロリーでお腹いっぱい食べても罪悪感のないメニューに特化したレストラン「筋肉食堂」をオープン。そして現在は、トレーニングのパフォーマンスをあげる“食”についての啓蒙活動にも注力している。
痩せやすい体づくりには筋トレと食事コントロールは欠かせない
ボディメイク中の人や、ダイエッター、アスリートたちの間で話題になっている「筋肉食堂」。この食堂は高タンパク、低カロリーの食材を料理し提供するレストランです。そのためウエイトコントロール中の人でも、この店の料理は罪悪感なくお腹いっぱい食べられます。なぜこのようなコンセプトのレストランをオープンしたのでしょうか。運営に携わる谷川俊平さんに聞いてみました。
「ダイエット=食事を減らすと考える方もいるでしょう。確かに食べなければ一時的に体重は落ちますが、リバウンドするリスクも高いです。僕は体重のコントロールには筋肉をつけることが重要だと考えています。筋肉をつければ代謝があがる。結果、痩せやすい体になるので少しのトレーニングでも体重は減りやすくなります。また筋肉をつけるとリバウンドもしにくいので、理想の体型がキープしやすくなるのです。『筋肉食堂』で提供する料理は、筋肉を育てるのに必要な栄養素をバランスよく摂取できるメニューばかり。ここの食事は、トレーニングの効果を2倍、3倍にあげてくれます。食べて筋肉をつける、“食べる筋トレ”です。でも、ささみやブロッコリーなどの食材をそのまま提供して、食感がパサパサだったりする”我慢飯”ではありません。ひと手間かけて美味しく調理しています。僕はトレーニングしている人や、ダイエット中の人も食事を楽しんで欲しい。だから『美味しい高タンパク低カロリーの料理』という、新しい価値を提供したくこのお店をオープンしました」
ボディメイクには筋肉を育てることが必要不可欠だという谷川さん。筋肉を育てるのに“食”が欠かせないと思ったきっかけは、パーソナルトレーナーとして活躍していたころ。
「トレーナーは、同じクオリティのサービスをクライアントに提供しているのに、驚くほど変貌を遂げる人と、そうでない人がいるのはなぜだろう? という疑問が生まれました。そして検証してみると、その差は食事環境にあることがわかったのです。以後、体を変えるのは筋トレだけでなく、栄養を意識して食事を摂る“食べる筋トレ“が大切だということを多くの人にご説明させていただいています」
谷川さんは、体を変える(引き締めるため)にはトレーニング1割に対して、食事9割が理想だといいます。筋肉をつけるという意味では、トレーニングと食事を合わせて行うのが効率的。しかしただ食べればいいというわけではなく、そこに谷川流の理論があるのです。
五大栄養素をバランスよく食す。中でも、タンパク質などの三大栄養素を意識して食べる
筋肉を育てるためには、五大栄養素のタンパク質、炭水化物(糖質)、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが欠かせません。またその中でも、三大栄養素といわれるタンパク質、糖質、脂質を意識して食べることが重要です。
「糖質・脂質は比較的、普段の食事からでも摂取しやすい栄養素ですが、タンパク質は意識して摂らないとなかなか必要な量を食べるのは難しいです。特に日本人はタンパク質が足りていない人が多いと思います」
では、タンパク質はどのくらい摂取すればいいのでしょうか?
「年齢や性別によりますが体重1㎏につきタンパク質1g〜1,5gは最低限、1日に摂取すべき量だと考えています。でも筋肉をつけたいと思っている人は、その量の2〜2.5倍以上を摂取するのが理想です」と谷川さん。
たとえば高タンパク、低カロリーの食材としてよく挙げられるのが鶏むね肉です。1枚(200g)の中に含まれるタンパク質は約40g。卵1個で約7g程です。体重50㎏の人が筋肉をつけたいなら、1日に鶏むね肉2枚と卵3個ほど食べてタンパク質を摂らないといけない計算になります。
「数字だけみるとタンパク質を摂取するのは難しそうと思う人もいるでしょう。特に女性の場合はムキムキボディを作りたいわけではなく、体重を減らしたいだけなので、食事を減らすだけでいいのでは? と思う方もいるはずです。しかし時間をかけて育てた筋肉は、少しの運動で脂肪を燃焼してくれます。車でいうとポルシェのようなエンジンが大きい車と軽自動車のような燃費のよい車。家計的には軽自動車の方が嬉しいですが、ウエイトコントロールに関しては、できるだけ少しの運動でエネルギーを燃焼してくれる方が効率はいいわけです。だから僕は筋肉をつけて、体を大型エンジンに替えましょうとご説明しています。ただトレーニングだけで筋肉をつけようとすると大変。だから食事(タンパク質)の力を借りて、より効率よく筋肉をつけるのをおすすめします。また、タンパク質を食事だけで摂取するのは大変という方は、プロテイン等を活用するのもよいでしょう」
平日と休日のメリハリある食生活を提案
しかし毎日、タンパク質を意識して食事を摂るのはプレッシャーだと感じてしまう人もいるでしょう。特に忙しいビジネスパーソンは、外食することが多く、タンパク質に特化した食事を摂るのは難しいとあきらめてしまう人もいるかもしれません。谷川さんにその点について聞いてみると「ダイエットにゴールはありません。ずっと続くもの。だからメリハリが大切だと思います」と答えます。
たとえば谷川さんの場合、月曜から金曜の朝はランニングやトレーニングをして、食事は高タンパク、低カロリーのメニューを中心にしっかり食べます。でも土日はトレーニングを休み、お酒も飲むし、揚げ物なども食べる。そして月曜にはまたトレーニングと、食事に気をつけるライフサイクルになっています。
「もちろん僕も平日に飲み会や食事の約束が入ることもあります。そういう時は、1日単位で考えるのではなく、2日で帳尻を合わせれば問題ないと思っています。前日、食べ過ぎたと思ったら、翌日は食事量を抑える。ガチガチにルールを設けて、ストイックになるのではなく、ゆるく考えていければと思います。何より継続。とにかく続けることが大切です」
手軽にできるダイエット&ヒップアップ効果の高い筋トレ
平日の朝はトレーニングをしてから仕事を始めるというスタイルをルーティンにしている谷川さんに、簡単にできるダイエットに効果的な筋トレを教えてもらいました。椅子などの台を使って行うブルガリアンスクワットは、太腿の裏にある大きな筋肉、ハムストリングスと大殿筋にアプローチするトレーニングです。この筋トレを行うことで、下半身が引き締まり、ヒップアップ効果が期待できます。また筋肉量が増えることで代謝が上がり、脂肪が燃焼しやすくなるのでダイエット中の人にもおすすめです。
ブルガリアンスクワット
片脚を椅子に乗せて、つま先を立てます。膝と足首が水平になるように意識しましょう。椅子に乗せていない脚は大きく前に出して、かかとに重心を置きます。手を軽く腰にあて、背中は真っ直ぐにして、目線は前を見るのが最初の姿勢です。
息を吐きながら椅子に乗せた脚の膝を真下に曲げます。この時、背中をまっすぐキープし、ふらつかないようにバランスをとりましょう。ここでひと呼吸したら、膝をゆっくりのばして最初の姿勢に戻ります。膝を曲げるとき、右の写真のように猫背や背中を前傾すると効果がないので注意しましょう。
さらに負荷をかけたい人は、椅子の上に足の甲を置きエクササイズをしましょう。10回を3セット行い、反対側も同様に。お尻の付け根が引き締まり、形のいいヒップになります。
筋トレと合わせて行いたい、筋肉のケア
筋肉を育てるためには、体の筋トレと“食べる筋トレ”だけでなく、筋肉のケアも大切です。谷川さんにハンディガンを使ったケア方法を教えていただきました。アタッチメントは球形を使用します。
ハンディガンを肩甲骨に当てます。この時、ハンディガンを押し付けるようにするのではなく、置くイメージで。1か所、30秒ぐらいを目安に当てるといいでしょう。
脚の太腿の裏は大きな筋肉、ハムストリングスがあるのでケアが大切です。ハンディガンのグリップと突起部分を両手でしっかり持ち、グラつかないように固定しましょう。1か所、10秒ぐらいで、太腿の裏全体にハンディガンを当てるようゆっくり移動させます。
中殿筋部分にハンディガンを当てることで、腰痛の予防にもなります。中殿筋はトレーニングを行う際、要の筋肉なのでしっかりケアしましょう。1か所、10秒ぐらいでゆっくり動かしていくのがおすすめです。
インタビューを終えて
“筋トレ”と“食べる筋トレ”を合わせて行うと、レバレッジ効果を発揮して筋肉が効率よく育ちます。ボディメイクはゴールがない戦い。長く続けるためには、少しのトレーニングで、多くの脂肪を燃やしてくれる大型エンジンをつんだ体を作ることが大切です。そして食べ過ぎた日は、2日分のカロリーを吸収したと考え、翌日で帳尻を合わせれば大丈夫。臨機応変、時にはちょっと自分に甘いぐらいのスタンスでトレーニングをする。このゆるさが長続きのコツです。