WELL GOOD(ウェルグッド)

Body and mind maintenance

子どもの運動能力が伸びるゴールデンエイジの過ごし方|平川正城

  • トレーニング
  • 筋トレ
  • ストレッチ
公開日2023.10.02
最終更新日2024.10.18
読み終わるまで8分

子どもの運動能力や運動神経の発達を語る時のキーワードとなる「ゴールデンエイジ」。9歳から12歳頃までのこの時期に運動能力が大きく伸びると言われていますが、大切なのはゴールデンエイジ前の「プレゴールデンエイジ」から、後の「ポストゴールデンエイジ」までの3つの時期、それぞれにあった運動をすることです。今回はゴールデンエイジの発達を意識した子ども向けのスポーツアカデミーを主宰する平川正城さんに、子どものフィジカル面の成長についてお聞きしました。

Profile
プロフィール
平川 正城
MASAKI SPORTS ACADEMY主宰

サッカーの名門校、清水商業高校(現清水桜が丘高校)卒業後、湘南ベルマーレに入団。Y.S横浜、東京23FCなどでゴールキーパーを務め、2013年日本の子どもと海外の架け橋となる選手強化型スポーツスクール「MASAKI SPORTS ACADEMY(MSA)」を創設。欧州の最新トレーニングなどを日本の子ども向けに改良した独自のメソッドで、海外で闘える子どもたちを育てています。

MSAグローバルマネージメント

平川正城公式インスタグラム

平川正城オフィシャルYouTube「ヒラカワクエスト」

ゴールデンエイジの過ごし方が子どもの運動能力を左右する

ゴールデンエイジという言葉をご存知ですか?運動神経の発達がほぼ完成する9~12歳頃の時期を指し、体の動かし方などを覚えるのに適した時期とされています。初めて見た動作でも短時間で覚えて自分の体で再現できるようになり、この時期に覚えたことは大人になっても忘れないとも言われている期間です。


この時期にどのような運動を経験するかはとても大切なのですが、子ども向けのスポーツアカデミーを主宰する平川正城さんは、ゴールデンエイジの前後の期間も合わせて考えることが重要だと指摘します。

「運動能力の発達段階には、ゴールデンエイジの他にその前段階となる運動神経が発達を始める5~8歳頃のプレゴールデンエイジと、その後の筋肉や骨格の成長時期である13~15歳頃のポストゴールデンエイジの3段階があるとされています。
 
プレゴールデンエイジは神経系の発達時期なので、この頃に色々なことを感じて興味を持ちやってみたいという気持ちになることが、その後のやる気に繋がっていきます。ゴールデンエイジになると自分の思ったように体が動くようになり『やってみたい』が『やってみよう』という行動に繋がり、実際に『やってみたらできた!』という経験値になります。この時期はたくさんの成功体験を得るチャンスでもあるので、積極的に色々なことを経験させてあげてほしいですね。そして、ポストゴールデンエイジではフィジカル面が向上してよりパワフルな動きができるようになり、パフォーマンスが上がっていくようになります。
近年、子どもの運動能力の低下が指摘されていますが、プレゴールデンエイジの頃からひとつのスポーツに特化してしまうことが原因のひとつではないかと感じています」
そして、こういった情報が少ないことで、多様な運動に親しむチャンスを逃している可能性があることから、平川さんは正しい情報の発信にも力を入れています。

技術は高くても勝てない子どもたちのフィジカル面の伸ばし方

プレゴールデンエイジで興味と身体を動かすことの基礎を育て、ゴールデンエイジで具体的なテクニックと運動能力が結びついた成功体験をさせることを大事にしている平川さん。その成功体験に必要なのが、様々なジャンルのスポーツの経験だと言います。
 
「私は海外の新しいトレーニングや指導方法なども積極的に取り入れており、アカデミーの子をスペインにサッカー留学させたりしていますが、海外の指導者は日本の子どもたちはサッカーが上手だと言います。私から見てもスキルは高いです。小さいころから専門的に学んでいますからね。でも、海外に行くと勝てない。それはフィジカル面の弱さや体の使い方の違いから、大事な局面で力が発揮できない子が多いためだと思っています。
 
フィジカル面を鍛えると言うと筋トレや体幹トレーニングなどを思いがちですが、欧州ではフィジカルをもっと広範囲に捉えています。スポーツではない体を使った遊びなどもフィジカルトレーニングなんですよね。例えばアスレチックでの遊びや、普段サッカーをしている子が野球をやるとか。実際に欧州はバケーション文化があり、長期休みの時は普段とは異なるスポーツを楽しむ子は多いんです。家族ぐるみでテニスをやるなど、積極的に色々なスポーツを経験することで普段とは異なる、体の様々な部位を動かす訓練になります。だから保護者の方々には、子どもに他のスポーツもするように促してほしい。特にゴールデンエイジは色々な動きを覚える時期です。その経験がとっさの時の機転を育てるほか、身体の可能性と可動域を広げ、いざという局面での底力になります」

欧州でも注目されている足裏

欧州の最新メソッドなどを学んでいる平川さんが、とても大事だと注目しているのが足裏です。

主催するアカデミーでは、インソールのオーダーメイドを勧めているほどなんだとか。
そこで、お勧めの足裏ケアを教えていただきました。

足裏ケア

最初に、足の指の間に手の指を挟み、5本指すべてを広げるようにします。この段階で指が入りにくい人もいますが、続けていくうちに開くようになっていきます。

子どもの場合は自身で行うほか、保護者が握ってもOKです。

足の指を広げた状態でハンディガンを当てます。気持ち良さを感じる好みの振動にセットしたら、親指の下にある母趾球を避けて土踏まずからかかとのほうへと流すように滑らせます。かかとまで行くと骨に当たり痛みが出るため、その手前で止めます。

親指から始め、人差し指、中指とそれぞれの指の付け根の下からかかと手前までを繰り返します。

この時、そのまま指の下から真っすぐ進むのではなく、かかとの中心に集まるようにします。

また、足指を反らせるとより刺激がダイレクトに伝わります。

子どもの足が小さいときはアタッチメントを交換すると、やりやすくなります。円錐形アタッチメントでも、球形アタッチメントでもどちらでもOK。トータルで5分ほど行います。
ケアのタイミングは運動前でも運動後でもどちらでも可。運動前なら、温冷機能が付いている場合はホットモードで行うと足全体が緩み動きやすくなります。運動後ならクールモードでクールダウンに、お風呂上りや寝る前であればホットモードが足の疲れのケアに適しています。翌朝のふくらはぎのスッキリ感が違います。

子どものうちに股関節の柔軟性を高めておこう

もうひとつ、子どものうちにケアしておきたいのが股関節の柔軟性です。小さなうちから柔軟にしておくと、体の使い方に幅が出てきます。

股関節ケア

四つん這いになった状態から肘をつき、膝を痛くない程度に開いたら、左右のかかと同士を付けます。

お尻を床側に下げたり天井側に上げたりして、股関節が開いていることを意識しながら、10回ほど繰り返します。この時、お尻を高く上げすぎたり、頭を上げすぎたりすると腰が反って負担がかかるため、肩からお尻までが一直線の高さになるようにします。

親は子どものスポーツの監督ではなく、一番のファンでいてほしい

子どもの運動能力が上がるゴールデンエイジに、親として何ができるのか。平川さんにお聞きすると「サッカーがうまくなりたいなら、サッカー以外のこともさせてあげてほしい」との言葉。続けて伝えられたのは、子どもとの関わり方でした。
 
「せっかく色々な動きを覚えるゴールデンエイジのチャンスに、同一スポーツで同じ動きばかりを覚えるのはもったいないです。それに、色々なスポーツをして他の世界を見ることは将来にも役立ちます。やはりプロの世界は厳しいので、今サッカーをしている子どもたち全員が選手になれるわけではありません。その時に他のスポーツをしていた経験はきっと役立ちます。実際にうちに通っていた子で、サッカーではなく陸上や別のスポーツで代表クラスの選手になった子もいます。そうやって子どもたちの未来の選択肢を増やすことも親の役目なんじゃないかなと思っています。
 
そして、子どもがスポーツしていること自体を応援してほしいですね。そのスポーツが大好きだったり、自分もしていたりする保護者に多いのですが、試合中に体の使い方や戦術的なところで子どもにダメ出しをしてしまう方がいます。このくらいの年齢ならシュートを外してもいいんです。シュートをしたことを褒めてほしい。なぜ外したかは監督やコーチが指導します。家族にはその子の一番のファンでいてほしいですね。それが成長する一番の秘訣だと思います」

インタビューを終えて

ゴールデンエイジを取り巻く成長過程で必要なのは、技術的な体の動かし方ではなく成功体験や褒めてもらえた経験であることに気付かされたインタビューでした。

Ranking

記事ランキング
総合
健康
お悩み

Pick Up

おすすめ記事