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ぽっこりお腹やむくみ顔が気になるなら、筋トレより軸トレが正解!|倉田 孝太郎
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最終更新日2023.08.10
年齢とともに崩れてくるボディライン。「下腹が出てきた」「顔がひと回り大きくなり、フェイスラインがぼやけてきた」などの悩みをもつ人は多いのではないでしょうか。モデルの“みちょぱ(池田美優さん)”の専属トレーナーで、トップアスリートのフィジカルトレーナーも務める倉田孝太郎さんは、ぽっこりお腹やむくみ顔は、姿勢の悪さが影響しているといいます。今回は体のゆがみを矯正し、よい姿勢を維持することでボディメイクできる“軸トレ”についてお聞きしました。
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2010年までフリースタイルスキー・エアリアル競技で日本代表選手として活躍。全日本スキー選手権大会優勝、アジア冬季競技大会銅メダル、ワールドカップや世界選手権出場など数々の輝かしい成績を残し、トレーナーへ転身。多くのオリンピック選手やプロ野球選手・プロゴルファーなど、トップアスリートのフィジカルトレーナーとして活動。現在は、みちょぱ(池田美優さん)の専属トレーナーでもあり、モデルの美トレ・ボディメイク・ウォーキング・姿勢改善を担当している。
Instagram:https://www.instagram.com/k.ktaro324/
体の軸を真っ直ぐに整えることが、ボディメイクになる
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夏に向け、そろそろボディメイクに力を入れたい時期。けれど、ハードな筋トレは苦手という人や、ダイエットが長続きしないという人におすすめしたいのが“軸トレ”です。
軸トレとは、骨盤などのゆがみをニュートラル(正しい位置)に戻し、体の軸を真っ直ぐに整えること。いわば、美しい姿勢を維持するためのトレーニングです。なぜ、姿勢を美しく正すことがボディメイクにつながるのでしょうか。
「例えば、骨盤が本来の位置から前傾や後傾にゆがむと、重心を取るために猫背になり、下腹がぽっこりと出て、首や顔が前にせり出してしまいます。見た目に美しくないことはもちろん、この状態では下腹の筋肉が上手く動かないため脂肪もたまりやすくなります。逆に、体のゆがみをニュートラルに戻し、体の軸が真っ直ぐに整うようトレーニングすると、自然に下腹が凹み、バストアップやヒップアップにもつながります」
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現代人はスマホやPCを見る機会が多く、ただでさえ猫背になりがち。肩や首まわりの筋肉のこりが、顔がむくむ原因というケースもあるそう。軸トレにより正しい姿勢になり首や肩まわりの血流がよくなれば、むくみがとれ小顔効果も期待できる、というわけです。
“みちょぱ”の専属トレーナーでもある倉田さんは、こう続けます。
「みちょぱの、きれいに縦線の入った“美腹筋”が話題になりますが、実は腹筋に直接アプローチするようなハードな筋トレはしていません。体のゆがみを整える軸トレをすると、筋肉が本来の位置につき、自然と腹筋が割れて見えます。そのため、筋肉質なボディとは異なる、健康的なスタイルになれるのです」
倉田式 ゆがみをニュートラルに戻す方法
倉田さんのもとには、オリンピック選手やプロ野球選手・プロゴルファーも通っています。なぜ、アスリートも軸トレを行うのでしょうか。
「体のゆがみをニュートラルに戻すと、体の軸が安定して効率よく体を動かせるからです。それによりパフォーマンスが上がり、ケガや関節の痛みなどのトラブルも少なくなります。
アスリートでない方にとっても、肩や首のこり、腰痛などの悩みが改善したり、新陳代謝が活発になるためダイエットによいというメリットもあります」
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軸トレは、体のゆがみを知ることから始まります。倉田さんにセルフチェックの仕方を教えていただきました。
「まず体を正面から見て、肩や腰骨の高さが左右同じかチェックします。見た目で傾きがわからなくても、片足立ちで立ってふらつくようならゆがんでいる証拠です。
次に体を横から見ます。耳、肩、大転子(大腿骨上部の出っぱり)、膝の横(膝の皿の後ろ)、くるぶしが一直線になっていれば、体の軸が真っ直ぐに整った状態。多くの人が、肩より耳が前に出たり、肩より大転子が前に出ていたりすると思います」
つまり、左右の傾きがなく、頭から足元まで軸が一直線になっているのが正しい姿勢ということ。ただ、自分流に正しい姿勢を意識するだけでは軸トレにはなりません。どうしても、長年の体のクセが出てしまうからです。
「例えば左右のゆがみがある人は多くの場合、歩き方にも問題があります。踏み切り時に、親指に重心がのるように歩くのが通常ですが、体が右や左に傾いていると、傾いている側の小指に重心をのせがちです。親指重心を意識して歩くことも軸トレのひとつです」
また体のゆがみをニュートラルな状態に戻して、美しい姿勢をキープするためには、2つのアプローチが欠かせないそう。ひとつは、体のゆがみによって縮んでこり固まっている筋肉を伸ばしてほぐすこと。そして、弱っている筋肉を活性化することです。
今回は体型のお悩みのなかでも、気になる部位の上位にあがる「ぽっこりお腹」と「むくみ顔」にアプローチする軸トレの方法をご紹介します。
すっきり下腹になる軸トレ
ぽっこりお腹を凹ませたいとき、最初のステップは体重や股関節を支える太もも(大腿四頭筋)と、上半身と下半身をつなぐ腸腰筋をゆるめること。腸腰筋が固いと、反り腰になってお腹がぽっこり出てしまいます。太ももと腸腰筋をゆるめた後に、お腹まわりをコルセットのように支える腹横筋を活性化させます。
【太ももと腸腰筋をゆるめる】
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ハンディガンを当て、太もも(大腿四頭筋)を下から上に流すようにケアします。太ももの内側、中央、外側と、ひと部位に30秒ほどかけてケアするのがポイント。固い部分があれば、その周辺でハンディガンを行き来させ十分にゆるめます。ぽかぽかと温かく感じるまで続けましょう。
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次に、腸腰筋にハンディガンを当てます。お腹の左右にある突起(上前腸骨棘)から3cmほど内側のあたりです。このとき、座って行うと効率よく筋肉をゆるめられます。腸腰筋は体の左右にあるので、どちらもケアします。ぽかぽかと温かく感じるまで続けましょう。
【お腹の腹横筋を活性化するエクササイズ】
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仰向きに寝て、膝を90度に曲げます。お腹の左右にある突起(上前腸骨棘)から1cmほど内側に指を当て、「ふー」と口から息を吐きながら5秒かけて下腹を凹ませます。息を吐ききったら、鼻から息を吸ってお腹をふくらませます。同様に5回~10回ほど繰り返します。
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指を当てるのはここ。腹横筋のこの場所を意識しお腹を凹ませたり、ふくらませたりしましょう。
顔のむくみを改善し小顔になる軸トレ
PCやスマホをよく見る人に多い猫背を矯正することで、血液やリンパの流れがよくなり顔のむくみを改善します。デコルテまわりの筋肉をゆるめた後、背中の筋肉を活性化して背筋のピンと伸びた美しい姿勢をつくります。
デコルテラインをストレッチでゆるめる
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右向きに寝て、左足を90度に曲げて膝に右手を添え、顔の前に左手を真っ直ぐ伸ばします。これがスタートの姿勢です。
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肩甲骨を体の中心に寄せるように意識しながら、左手を体に引き寄せます。
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そのまま、半円を描くように左手を体の後ろへ倒して5秒キープ。またスタートの姿勢に戻り10回繰り返します。左向きに寝て、同様に行います。
床に座り、壁と背中の間にクッションやタオルをはさみます。骨盤と壁の間に、隙間をつくることが重要です。力が入りやすいよう膝を軽く曲げましょう。
肩甲骨の内側を活性化するエクササイズ
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床に座り、壁と背中の間にクッションやタオルをはさみます。骨盤と壁の間に、隙間をつくることが重要です。力が入りやすいよう膝を軽く曲げましょう。
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タオルを手に持ち、その姿勢のまま腕を上げ下げします。ポイントは肩甲骨を体の中央に寄せるよう意識して腕を下げること。10回ほど繰り返します。
30代40代のトレーニングが、未来の自分を輝かす
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倉田さんが行うトレーニングの魅力は、美しさと合わせて健康面のメリットも大きい点です。
年齢を重ね新陳代謝が低下した体は太りやすくなり、さらに骨盤などのゆがみによる首や腰、膝が痛むなどのトラブルが起これば、より体を動かすのが面倒になるという負のスパイラルにはまってしまいます。
「30~40代こそ、無理のない“軸トレ”を続けていただきたいと考えています。体の痛みを訴える人のなかには、骨が折れたり変形したりして、リカバリーできない状態になっている方もいます。今から健康的で美しい体を目指していけば、50~60代になったとき、またさらに年齢を重ねても、生き生きと過ごすことができます」
倉田さんによると、体の軸が真っ直ぐに整うと重力が骨に対して垂直にかかるため、その負荷で骨が活性化して丈夫になるそう。高齢期に心配な骨粗鬆症のリスクの軽減も期待できるのです。
インタビューを終えて
「どれだけ頑張っても、もう若い頃の体型には戻れないだろうな」というあきらめを言い訳にボディメイクに打ち込めずにいましたが、倉田さんの「これからの人生を輝かすため、今トレーニングをする」という考え方にハッとさせられました。“あの頃”を取り戻すのではなく、“これから”の自分を輝かす未来志向のボディメイクが大切なのだと痛感しました。