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運動習慣で免疫力を高めて、いつまでも健康で老けない身体づくり|池田佐和子

  • リラックス
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公開日2024.09.20
最終更新日2024.10.18
読み終わるまで9分

40代、50代と年齢を重ねても若々しく、元気でいたい。そのためにも、まずは運動を始めてみる方は多いようです。でも、今から何をどうしたらよいのかわからないという声も聞きます。そこで、パーソナルトレーナーの第一人者である池田佐和子さんに、40~50代の人に必要な運動習慣についてお聞きしました。運動習慣をつけて免疫力をアップし、健康な身体を目指しましょう。

Profile
プロフィール
池田佐和子
健康運動指導士/パーソナルトレーナー

1995年に日本で初めてのパーソナルトレーナーとなって以降、多くの実績と経験を重ね、モデルやアスリートたちをはじめとした、運動をしている人たちのトレーニングを担当。常に最新の理論を用いながら、効果的でわかりやすいプログラムを提案しています。企業へのフィットネスプランや、テレビや雑誌のトレーニング監修は600以上。男女を問わない身体づくりで高い信頼を集めています。

https://sawako-ikeda.com/

40~50代の身体に起きていることとは

40代になってから風邪をひきやすくなった。風邪をひくと治るのが遅くなった。50代になったら関節が痛くなることが増えた。疲れがとれなくなった。これらは加齢によって現れる不調ですが「女性は特に50代で大きな変化があるので注意が必要です」と語るのは、パーソナルトレーナーの第一人者である池田佐和子さん。一人ひとり異なる身体の悩みに真摯に対応してきた池田さんだからこそ、自分に合った身体のメンテナンスの重要性を指摘します。
 
「女性ホルモンのピークは30歳前後と言われ、その後に何もケアをしなければ体力や体調は下降の一途を辿ります。そして、閉経などでホルモンのバランスが崩れる50歳前後に、もう1段階ガクッと低下すると言われています。そのころから関節や靭帯が硬くなりやすくなるほか、骨粗しょう症にも気を付けなければならなくなり、ケガ以外での故障を訴える方も増えてきます。こういった身体の変化を避けることはできないのですが、運動を続けていると“動きにくくなった”など自分の身体の変化にいち早く気付くことができます。また、運動をすることで、これから先に現れる症状を小さくすることもできます。
 
でもここで注意していただきたいのは、40~50代の身体は年齢と同じ年月の負荷や無理が重なっている点です。それまで運動を続けていた方も、これから運動を始める方も、まずは一度自分の身体と向き合ってみるとよいでしょう」
 
身体にかかっている負荷には様々なものがあります。利き腕、利き足、歩き方、鞄を左右どちらで持つことが多いかといった普段の生活の何気ない行動や癖、立ち仕事や座りっぱなしのパソコン作業など職業によって異なる身体への負担が、何十年と積もり重なって身体の不調となってくるのだとか。そしてその不調は、負担がかかっている箇所に出るとは限りません。例えば腰が痛い場合でも、歩き方の癖によって右膝に不調が生まれ、歩きにくさのバランスをとろうとして腰に余分な力がかかっていることもあるそうです。
 
そのため、運動をしていても不調が改善しない場合や、これから運動を始める場合には一度、パーソナルトレーナーなどに身体全体を見てもらうとよいでしょう。身体に沁みついた動きの癖を直すことで、運動の効率がよくなります。

大人の運動習慣は「心地よい」から始めよう

体調管理や健康の維持のためには、血液やリンパなどの巡りを促してくれる運動は重要です。年齢を重ねて衰えてきた内蔵機能をカバーするためにも運動をして大きな筋肉を動かし、汗をかいてリンパの流れや血行をよくすることは、免疫力を高めるためにも大切になってくるのです。
 
しかし、これまで運動の習慣がなかった人が身体の不調を感じて運動を始めたいと思った時に、どのように習慣づけをすれば長く続けていくことができるのでしょうか。
 
「“何キロ痩せる”といった目標があるほうが頑張りやすいのは確かですが、まずは心地よいと感じる程度から始めるとよいかと思います。頑張ること自体が楽しいと感じる方もいる一方で、『このくらいでいいか』という程度のほうが続けられる方もいます。まずは軽く歩いて『気持ちがよいな』程度で始めてみるのがよいでしょう」

巡る身体づくりは、ふくらはぎが大切

身体の巡りをよくしていくには、大きな筋肉を動かすことが大切と指摘する池田さん。なかでもふくらはぎは、筋肉の収縮と弛緩の繰り返しでポンプのように血液を心臓に送るミルキングアクションを行う部位。ここを積極的に動かしていくとよいそうです。
 
「巡りのよし悪しはむくみの有無が参考になります。特にむくみは女性だけではなく、男性にも多い症状。靴下を履くと短時間なのにしっかり痕が付くほどむくんでいることが多々あります。むくみが解消されるまでの時間も若いころに比べてかかりますので、翌日もむくみや疲れを引きずり、疲労が蓄積されていく悪循環となります。これは運動による疲労にも当てはまり、運動した後はしっかりと休憩して疲れを取り除くことが重要です。
 
ミルキングアクションが行われる運動を続けることができれば、身体は徐々に変わっていきます。その状態はとても心地よく、楽しく運動を続けられるようになるのではないでしょうか」

リラックス&巡りをアップする、ふくらはぎのケア

循環を促すミルキングアクションを起こすには、ふくらはぎの柔軟性が必要となります。「筋肉をゆるめてあげると柔軟性が高まりますので、その後に筋肉を使った運動をすると効率的です」と、池田さん。特に、ふくらはぎは長年の歩き方や立ち方の癖が染みつきやすい部位です。変なところが硬くなっていたり、全体がパンパンに張っていたりすることも多いので、ゆっくりとリラックスしながらふくらはぎをゆるめましょう。

ふくらはぎのらくらくケア

ふくらはぎをゆるめるには、電動フォームローラーなどの器具を使用すると簡単です。椅子に座った状態、または床に足を伸ばして座った状態や寝ころんだ状態、どちらでもやりやすいほうで大丈夫です。

◎椅子に座った状態

1.電動フォームローラーを床に置き、その上に片足を乗せます。
2.土踏まずのカーブがロールに沿うような位置に足を置き、振動をスタート。時々コロコロと転がしながら、ふくらはぎの筋肉がほぐれたと感じるまで数分間続けます。振動のレベルは、膝くらいまで振動を感じる程度で、心地よいと感じるレベルでOKです。

◎床に座った状態、寝ころんだ状態

1.両足を伸ばして、ふくらはぎの下に電動フォームローラーを入れます。
2.好きなレベルで振動をさせながらつま先を左右にゆっくりと振り、ふくらはぎの中央にあるヒラメ筋だけではなく、横の腓腹筋(ひふくきん)までケアします。
3.ふくらはぎの下部(足首近く)、上部(膝近く)、どこから始めてもOKですが、電動フォームローラーの位置を移動させて2を繰り返し、全体をケアします。

簡単だけど全身を使った心地よい運動

下半身の大きな筋肉を使うと巡りがよくなります。軽いスクワットのような動きをすることで、股関節から太ももの前部分の筋肉、大腿四頭筋とお尻の筋肉、大臀筋を刺激します。

1.足を腰幅より広く開き、つま先を外に向けて両手を前で組み下ろします。この時、背骨は真っすぐに立たせます。
2.スクワットの要領で軽く膝を曲げます。腕を伸ばした状態で、組んだ両手を頭の上へ移動させると同時に、腰を上げて膝も伸ばします。次に、手を下ろすと同時に腰を落として膝を曲げ、手を元の位置に戻します。

3.腰から背中(背骨)を左に回転(回旋)させながら両手を左上に上げ、左方向に顔を向けて右膝を伸ばします。この時、右足首も左に軽く回旋させます。右わき腹から右足のふくらはぎが伸びていることを意識し、手から足先までがほぼ一直線になるようにします。
4.3とは逆の要領で膝を曲げながら腕を戻し、正面を向いた状態に戻ります。

5.右も同様に行い、最後に膝を曲げて正面を向いた状態に戻ります。1~4までを1セットとし、10セット程繰り返します。
 
上下の伸びる動きと、左右の回旋の動きは、すべてを同時に行います。難しい場合は、最初は1~2の動きを繰り返し、スムーズにできるようになったら3~5を取り入れていくとよいでしょう。また、1~5までを行うと運動量が多いため、きついと感じた場合は数セットからのスタートで大丈夫です。

インタビューを終えて

身体の不調は生活習慣のほかにも、子どものころなど昔のケガが原因で他の場所に影響が出ていることもあるのだとか。単純な「いつまでも若々しく」ではなく、一緒に年を重ねてきた身体の状態をきちんと把握し、隠れていた不調の原因を見つけ、「いつでも自分らしく動ける身体」を目指すことが若さの秘訣なのかもしれません。

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