【体幹強化】あなたはゆったりとヨガ派?爽快にキックボクシング派?
最終更新日2024.03.15
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「最近太りやすくなった…」「なんだかお腹が出てきた?」そんな悩みを抱えているなら、動作の要である「体幹」の筋力が弱っているのかもしれません。体幹を鍛えるためには、さまざまなエクササイズがあります。なかでも、自宅で手軽にできるヨガやピラティスが代表的です。さらに「内臓脂肪の燃焼にも効率的にアプローチしたい!」という人には、キックボクシングをおすすめします。それぞれのメリットや違い、消費カロリーや鍛えられる部分に加え、簡単に実践できる各エクササイズも紹介します。
ヨガでしなやかボディを目指す!
「正しい姿勢と正しい呼吸法が活発な身体活動を生む」というのが、ヨガの基本的な考え方です[1]。ヨガはもともとインドの修行法ですが、現在広まっているものはフィットネスの要素を加味して運動法としてアレンジされたものです。
ヨガは種類によって、副交感神経を活発にする腹式呼吸、交感神経を活発にする胸式呼吸を使い分けます。多くのヨガで採用される腹式呼吸は副交感神経を活性化させるため、精神面の安定が期待できます。また姿勢改善や筋力アップ、軽い体の不調が軽減される作用も。運動量はヨガの種類によって異なりますが、中でもパワーヨガはポーズと呼吸によって筋力と柔軟性を高めることを目的とした、特に運動量が多いヨガです。
ヨガとピラティスはどう違うの?
体幹を強化するエクササイズとしてヨガとよく比較されるピラティスですが、共通点と異なる点があります。肉体と精神について深く関連があると考え、それらのバランスの取れた状態をつくることを目標としてる点は共通部分です。一方、ピラティスは体幹部の深層筋であるインナーマッスルを鍛えるなど、身体面からのアプローチに重きを置き、ヨガは瞑想など精神面からのアプローチに重きを置く、という違いがあります[2]。
そのほか、前項で記述した自律神経へのはたらきも真逆です。静止したポーズも取り入れ、主に副交感神経を活性化させる腹式呼吸を使うヨガに対して、流れるような動きと胸式呼吸で交感神経にはたらきかけるのがピラティスという違いもあります。
鍛えられる筋肉
〈ヨガ〉
ポーズによってさまざまな部分の筋肉が鍛えられます。なかでも、姿勢維持に関わる「脊柱起立筋」や、太ももの「大腿四頭筋」、ふくらはぎの「ヒラメ筋」「腓腹筋」などが代表的です。
〈ピラティス〉
ピラティスのエクササイズは、姿勢の維持やバランスを取るときに使われる、体幹部の「深層筋」(インナーマッスル)を強化することが特徴です。
運動強度と消費カロリー
筋力アップも狙えるヨガですが、運動強度は「2.5」とそれほど高くはありません[3]。これは、軽い家事やゆっくりとした歩行と同じくらいの強度です。消費カロリーは体重によって変わりますが、計算式を使って運動強度(メッツ)から算出できます[4]。
※メッツとは、厚生労働省によって定められた、身体活動の強さを安静時の何倍に相当するかで表す単位です。座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行が3メッツに相当します。
運動の消費カロリー(kcal)=1.2×(メッツ-1)(kcal/kg/時)×運動時間(時間)×体重(kg)
たとえば、体重50kgの人がヨガを30分行った場合は、次のようになります。
1.2×(2.5メッツ – 1)kcal/kg/時 × 0.5時間 × 50kg=45kcal
これは通常のヨガの場合の計算式で、パワーヨガは運動強度が「4.0」と高めになり、30分で90kcalを消費します[3]。
また、内臓脂肪の減少には1週間で10メッツ・時以上の有酸素運動が推奨されています[5]。ヨガを1週間に合計4時間以上行うと、10メッツ・時の運動量です。運動強度2.5メッツのヨガを週に10.0メッツ・時行うために必要な時間は、次の計算式から算出できます。
10(メッツ・時) ÷ 2.5(メッツ)= 4(時間)
ヨガの消費カロリーは多くありませんが、週に4時間(240分)であれば、1日35分のヨガで達成できるため、毎日継続的に行えばダイエットとしても役立ちますね。
〈ピラティス〉
インナーマッスルを鍛えるピラティスですが、その運動強度はどのくらいなのでしょうか。
こちらもヨガ同様、体重50kgの人がピラティスを30分行った場合で算出します。
1.2×(3.0メッツ – 1)kcal/kg/時 × 0.5時間 × 50kg=60kcal
静止するポーズが多いヨガに比べると、動きのあるピラティスのほうが若干消費カロリーは高くなります。
では、ピラティスで脂肪を落としたいとき、どのくらいの頻度や時間で行うのが好ましいのでしょうか。
10(メッツ・時) ÷ 3.0(メッツ)= 3.3(時間)
3時間20分以上で、推奨されている「10メッツ・時以上の運動」になるため、毎日継続的に行えば1日30分で達成できます。毎日行うのが難しい場合は、時間を増やして回数を減らしてもOKです。
キックボクシングでメリハリボディを目指す!
さらにアクティブなエクササイズに挑戦したい!という方には、キックボクシングがおすすめ。キックボクシングは、「ムエタイ」をルーツとした、ボクシングにキックの動作を加えた格闘技です。体のバランスをとりながら脚や腕を動かすため体幹が鍛えられます。そのほかにも、筋力アップや脂肪燃焼も期待できるエクササイズです。
鍛えられる筋肉
キックボクシングで鍛えられる筋肉は、二の腕・背中・肩・ふくらはぎ・太もも・ウエスト・腰・お尻など全身に及びます。全身をバランスよく引き締め、美しいボディラインを目指しましょう。
運動強度と消費カロリー
キックボクシングの運動強度は「10.0」です。こちらもヨガとピラティス同様、体重50kgの人がキックボクシングを30分行った場合で算出します。
1.2×(10.0メッツ – 1)kcal/kg/時 × 0.5時間 × 50kg=270kcal
体重50kgの人が30分行った場合は270kcalを消費します。ヨガやピラティスに比べると、消費カロリーは格段に上がるため、ダイエットにはより適していますね。1週間に1時間で10メッツ・時をクリアできるので、短時間で効率的にダイエットしたい人には理想的なエクササイズです。
体幹を鍛える基本エクササイズを紹介
体幹強化を目指し、自宅でも実践してみましょう。それぞれおすすめのエクササイズを紹介します。
【ヨガ】猫のポーズ
背骨のゆがみを整えるエクササイズです。体幹は背骨や骨盤のゆがみをとることが大切。このエクササイズで自律神経のバランスを整えることもできます。
- 四つん這いになった状態から、息を吸いながら腰を反らす
- 息を吐きながら、お腹を見るようなイメージで背中を丸める
- この2つの動作を繰り返す
こり固まった背中や腰の筋肉が伸びていることを意識して行いましょう。
【ピラティス】ペルビック・カール
仰向けに寝てお尻を浮かせ、体幹とおしりや太ももの筋肉を鍛えるエクササイズです。
- 仰向けに寝て膝を立て、両脚の間にこぶし1個分ほどすきまをあける(骨盤は床と平行になるようにキープ)
- 息を吐きながら骨盤ごと下腹を顔の方に向け、背骨を下から1個ずつ持ち上げるイメージでお尻と背中を浮かせる
- 膝から肩まで一直線になったら、その姿勢をキープしながら息をゆっくりと吸う
- 背骨を上から1個ずつ床につけるイメージで、ゆっくり背中とお尻を下ろす
1~4を5~8セットくり返します。足と足、膝と膝の間はそれぞれこぶし1個分ほどあけます。腰を上げるときにひざが開かないこと、姿勢をキープするときに腰が反らないように注意してください。
【キックボクシング】キックストレッチ
きれいなキックのためには、ストレッチが必須。股関節から脇腹にかけて伸びる「腸腰筋」というインナーマッスルの強化に役立ちます。
- 両手で腰をつかみ、右脚を少し曲げて後方に振り上げる
- そのままバランスを取りながら、振り子のように勢いよく右脚を前方に振り上げる
- 体と直角になるところまで上げたら、また後方に振り上げる動きを繰り返す
慣れてきたらつま先を上げた状態で行いましょう。バランスを取りながらの運動はかなりきつく感じますよね。しかしその分、効率的に鍛えられます!左右それぞれ1分間を1セットで行い、1日3セットが目標です。
体幹を鍛えて美しいボディラインを目指そう!
体幹を強化すると、姿勢改善や便秘解消、ぽっこりお腹の改善などうれしい作用が盛りだくさんです。また、体幹に加え、筋力がアップすることで基礎代謝量が増え、効率的に全身を引き締めることもできます。ゆったりとした動きや、精神面にもアプローチしたい人はヨガを、もう少し運動強度を上げたい人はピラティスを、アクティブな動きでストレス発散したい、エクササイズの時間は短くしたいという人はキックボクシングがおすすめです。自分に合ったエクササイズで、体幹強化に挑戦してみてくださいね。
参考文献
[1]厚生労働省. “ヨガ” 厚生労働省 e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-085.html(参照2019-09-05)
[2]厚生労働省. “ピラティス” 厚生労働省 e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-083.html(参照2019-09-18)
[3]厚生労働省. “(PDF)運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書” 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/000306883.pdf(参照2019-09-05)
[4]厚生労働省. “(PDF)参考資料1 身体活動のエクササイズ数表 ” 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/07/dl/s0725-9f-32.pdf (参照2019-09-05)
[5]厚生労働省. “内臓脂肪減少のための運動” 厚生労働省 e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-002.html(参照2019-09-05)