四十肩・五十肩の原因を理解することで予防理由がわかる!さらにストレッチ方法もご案内します。
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最終更新日2024.03.28
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- 四十肩・五十肩の原因とは?
- 四十肩・五十肩になるとどんな症状が?
- 肩に強い痛みが現れる
- 就寝中に痛みがあることも
- 肩の可動域が狭くなる
- しばらくすると自然に回復
- 肩に痛みがあるときはどうしたらいいの?
- まず安静にする
- 痛む時期を過ぎたら、肩を動かすリハビリ運動を
- 四十肩・五十肩を予防するには?毎日取り入れたい運動やストレッチ
- 四十肩・五十肩の回復に役立つエクササイズ
- 痛みが治まったら行うエクササイズA(水の入ったペットボトルなど)
- 痛みが治まったら行うエクササイズB(傘やゴルフクラブなど)
- 四十肩・五十肩の予防に役立つストレッチ
- 肩と腕の筋肉をほぐすストレッチ1
- 肩と腕の筋肉をほぐすストレッチ2
- エクササイズやストレッチのポイント
- 四十肩のストレッチは慢性期に!おすすめ3選を紹介
- 四十肩のストレッチは痛みが落ち着いた慢性期に
- 慢性期に実施したい効果的なストレッチ
- ゴムチューブを使うストレッチ
- タオルを使うストレッチ
- 肩と腕の筋肉を緩めるストレッチ
- 適切なストレッチで状態を緩和
四十肩・五十肩の原因とは?
肩の関節は、上腕骨・肩甲骨・鎖骨の3つの骨で支えられています。また、軟骨や腱がこれらの骨をサポートしています。
肩を酷使すると軟骨や腱など肩関節の周りに損傷や炎症が起こり、痛みが起こります。さらに進むと、肩の関節を覆っている袋状の組織が炎症によって硬くなったりくっついたりしてしまい、関節の動きまで悪くなることがあるのです[参考:日本整形外科学会. “五十肩(肩関節周囲炎)”日本整形外科学会webサイト]。
こうした痛みや動かしづらさは中年以降に起こることが多く、一般的には「四十肩」「五十肩」と呼ばれていますが、多くの場合は診断名として「肩関節周囲炎」が使われています。また英語のfrozen Shoulderから、「凍結肩」という名称で呼ばれることもあります[参考:肩関節周囲炎 理学療法診断ガイドライン]。
四十肩・五十肩になるとどんな症状が?
四十肩・五十肩の典型的な症状には以下のようなものがあります。心当たりはあるでしょうか。
肩に強い痛みが現れる
腕を上げたときなど「もうこれ以上、上げられない」というところで痛みが発生することがあります。その後は、腕を動かしても、じっとしていても痛みを感じることが多いでしょう。
就寝中に痛みがあることも
夜中にズキズキとした痛みに悩まされます。寝返りをきっかけに痛みがぶり返し、眠れなくなることもあります。
肩の可動域が狭くなる
激しい痛みがひと段落すると、肩が上がらない、回せない…といった可動域の制限が起こります。日常の動作で棚の上の物を取ったり、着替えをしたりしたときに肩が思うように動かせなくなることが多いでしょう。
しばらくすると自然に回復
痛みとともに肩の動きが悪くなってから、1年ほどで自然と症状が回復するのも四十肩・五十肩の特徴です。
肩に痛みがあるときはどうしたらいいの?
四十肩・五十肩は自然と軽くなることが多い症状です。ですが激しい痛みや肩が動かせなくなることにより、日常生活に不便を感じてしまいます。悪化を防ぐには、以下のようなことを心がけましょう。
まず安静にする
激しい痛みがあるうちは無理に肩を動かそうとせず、安静にすることが大切です。できるだけ肩を使わないために、三角巾やアームスリングを使用するのもよいでしょう。
痛みがつらいときは病院を受診し、痛み止めの注射や内服薬を処方してもらう方法もあります。夜は痛いほうの肩を下にして横向きになると、比較的眠りやすくなりますよ。
痛む時期を過ぎたら、肩を動かすリハビリ運動を
ほとんど痛みを感じなくなったら、「コッドマン体操」などの運動を取り入れて少しずつ肩を動かす練習をしましょう。
<コッドマン体操のやり方>
アイロンや水の入ったペットボトルなど、重りを使って肩周りの腱を伸ばしながら、可動域を広げていく体操です。
1,痛くないほうの手を机やテーブルにつき、前かがみの姿勢をとります
2,痛いほうの手に重りを持ち、前後にゆっくり振ります
3,2同様に、重りを持った手を左右にゆっくり振ります
腕を振り子のように前後・左右に振りながら、動きを徐々に大きくしていきましょう。肩の力ではなく、身体の反動を使うのがポイントです。
運動によって痛みがぶり返したら、ただちに中止し、様子を見ましょう。痛みが続くようなら、医師に相談してください。
四十肩・五十肩を予防するには?毎日取り入れたい運動やストレッチ
肩に突然、激痛が起こる四十肩・五十肩。痛みは数週間で治まりますが、その後に気をつけなければならないのが、関節周りの組織の癒着です。癒着してしまうと、肩を動かしづらくなってしまいスムーズな動きが難しくなることがあります。四十肩・五十肩に最近なった方や、まだなっていない方でも年代的に気になる場合は、自宅で簡単に行えるエクササイズやストレッチを取り入れて、日常動作がスムーズに行える状態をキープしましょう。
ただし「動かしていないのに肩が痛い」「今、肩関節の周りに熱を持っている」という方は、運動は行わず安静を心がけてください。
四十肩・五十肩の回復に役立つエクササイズ
四十肩・五十肩の場合、しばらくすると肩の痛みや熱がひいていきます。痛みがひいたからとそのままにせず、痛みが治まったタイミングで、セーブしていた日常的な動作は再開し、以下のようなエクササイズを取り入れて、肩関節の可動域を広げることが大切です。このエクササイズは、水を入れたペットボトルを重りにし、背もたれのある椅子や、傘など手のひらで掴める肩幅以上の長さの棒状のものがあれば、簡単に行えます。AとBをセットで1日3回(朝・昼・晩)、行ってみてください。
痛みが治まったら行うエクササイズA(水の入ったペットボトルなど)
1,痛みがあったほうの腕に水の入ったペットボトルなど重りを持ちます
2,椅子の後ろに立って、重りをつけていない手で背もたれをつかみ体を支え、30~40度前に屈みます
3,力を抜き、重りをつけた腕が振り子になるイメージで、腕全体を前後に大きく円を描くように2~3度回し動かします
3が自然に止まるのを待ってから、10回くり返します。重りは、0.5~1kgくらいのものがおすすめです。
痛みが治まったら行うエクササイズB(傘やゴルフクラブなど)
1,両手を前方に伸ばし、肩幅と同じぐらいの間隔幅で棒を握ります
2,バンザイをするように棒をあげたら、ゆっくりと足元まで下ろします
3,また、1の体勢に戻したら、今度は水平に左右にゆっくりと動かします
4,最後に、バンザイの状態から、体を左右にゆっくりと傾けます
上体を左右に倒すときは、わきや肩甲骨が伸びているのを意識することがコツです。エクササイズAと同様に、10回くり返します。
四十肩・五十肩の予防に役立つストレッチ
長年肩を酷使してきた40~50代は、突然の肩の痛みが気になる世代です。まだ四十肩・五十肩になったことがないという方も、日頃から十分にストレッチ運動をしておくと、予防に役立ちますよ。
肩と腕の筋肉をほぐすストレッチ1
1,手のひらが上になるよう、片腕を前方に伸ばします
2,もう片方の手で1の指先をつかみながら押し下げて20~30秒キープします
3,反対側の腕も同様に行います
肩と腕の筋肉をほぐすストレッチ2
1,両手を腰の横に当てます
2,そのまま両ひじをゆっくり後ろに引き、肩甲骨を寄せます
3,2を10回くり返します
ストレッチは関節可動域を改善して柔軟性を保つとともに、こわばった筋肉をほぐす、血流を促して疲労を回復させるといった働きがあります。実際に行うときは、息を止めたりせず自然な呼吸を続けることが大切。はずみをつけて体を伸ばすのではなく、ゆっくりした動作で関節を心地よく伸ばしましょう。
エクササイズやストレッチのポイント
肩関節の可動域を広げるエクササイズやストレッチは、さまざまな種類を組み合わせて行うのが効果的です。お風呂上りなど、体が温まっているときに行うのもよいですね。最初から完璧にやろうとせず、少しずつでもよいので、スムーズな動きを取り戻せるよう根気よく続けていくことが大切です。
ただし、エクササイズやストレッチの最中に痛みを感じたら無理をせず、動きを中止して様子をみましょう。しばらく安静にしても痛みが治まらない場合は、医療機関を受診してください。
四十肩のストレッチは慢性期に!おすすめ3選を紹介
四十肩や五十肩になると、少し動かしただけでも痛みを感じるもの。症状が長引くと、いつ良くなるのか不安になりますよね。適切なストレッチを行うことにより、辛い症状を緩和させることができます。ストレッチの手順と行うタイミングについてご紹介します。
四十肩のストレッチは痛みが落ち着いた慢性期に
四十肩には「急性期」と「慢性期」があります。急性期は突然激しい痛みが現れる時期で、痛みは数日間続きます。肩関節がひどい炎症を起こしている状態なので、安静を第一にしてください。
ストレッチをするとよいタイミングは激しい痛みが落ち着き、鈍い痛みに変わる慢性期です。患部の炎症は収まってきているものの、肩の可動域が狭くなってしまい、肩を上げたり後ろに回したりする動きが、まだ困難に感じます。
この時期に「まだ少し痛いから…」といって全く動かさないでいると、肩関節を包んでいる膜が癒着(くっついてしまうこと)する可能性があります。そのため、痛みが落ち着いてきたら、肩や腕の筋肉に働きかけるストレッチを行って回復を促しましょう。
慢性期に実施したい効果的なストレッチ
四十肩の緩和におすすめのストレッチを3つご紹介します。激しい痛みが落ち着いた慢性期に行ってください。
ゴムチューブを使うストレッチ
座ったままでもできるストレッチです。1メートル程度の長さのゴムチューブを用意しましょう。
1,痛む肩側の手を逆手、痛まない肩側の手を順手にし、肩幅よりやや広めの幅でゴムチューブを握り、そのまま高く持ち上げる
2,1の状態から、痛くないほうの手でゴムチューブを斜め上に引っ張るようにし、痛いほうの手を外側へ高く上げる
3,両手をおろし、腰の後ろで手のひらが後ろを向くようにし、ゴムチューブの中ほどを両手で握る
4,ゴムチューブで体をこするようにしながら、肘を曲げて上に持ち上げる
※ワンポイントアドバイス
無理なく行うことが大切!一人では難しい場合は、誰かに手伝ってもらいましょう。
タオルを使うストレッチ
体が硬い方にもおすすめのストレッチ。立った状態でも椅子に座ったままでもできます。ゴムチューブがあればおすすめです。
1,肩幅と同じになるように両手でタオルを持つ
2,そのまま手を上に上げ、バンザイの姿勢をとる
3,姿勢を崩さず上体を左へゆっくり倒す
4,息を吐きながら30秒静止したら、ゆっくり元の状態に戻る。反対側も同様に行う
※ワンポイントアドバイス
ただ上体を倒すのではなく、脇腹や肩甲骨、肋骨といった部位を刺激しているのを感じましょう。
肩と腕の筋肉を緩めるストレッチ
四十肩になると肩と腕の筋肉が硬くなりがち。しっかり緩めるストレッチを行いましょう。
1,片手をまっすぐ前に伸ばして手のひらは上に向ける
2,もう片方の手で伸ばしている指先を下に押し、腕の筋肉を伸ばしたら20~30秒間維持。反対も同様に行う
3,両手を腰にあて、肩甲骨を寄せ腕のつけ根が伸びるように両肘を後ろに10回引く
4,両手の甲を背中にあて、上の手を追い越すように下の手を上に移動、無理のないところまで上に行く
5,肩甲骨を動かすように意識しながら、外回し・内回しと肩を大きく回す
※ワンポイントアドバイス
動作はゆっくり行うことが大切!特に4の動作は無理しないでくださいね。
適切なストレッチで状態を緩和
四十肩や五十肩の予防・回復に役立つエクササイズやストレッチをご紹介しました。こうした運動は、症状が出ないうちから予防的に取り入れるのがおすすめです。痛みがあるために、動かすのを恐れがちな四十肩。でも慢性期に入ったら安静にしているよりも、しっかり動かしたほうが早期改善に繋がります。とはいえ無理すると痛みが悪化する可能性もあります。
肩関節の動きが制限されると、電車の吊り革をつかむのに苦労する、洗濯物を干すのがつらい…など、日常生活に支障が出てしまいます。毎日、ちょっとした空き時間を活用するなどして続けていきましょう。