突然腰が痛い!ぎっくり腰の症状や原因と対処法とは
- ケガ予防
最終更新日2023.02.03
読み終わるまで6分
これってぎっくり腰?よくある症状とは
それまでなんともなかったのに、ほんのわずかな体位の変化で、突然腰に激しい痛みを引き起こすぎっくり腰。
きっかけになる動作がはっきりしないときもありますが、特に、以下のような状況で起こることが多いようです。
・重い物を持ち上げようとしたとき
・顔を洗おうと前かがみになったとき
・ベッドから起き上がろうと不用意に姿勢を変えたとき
・くしゃみやせきをしたとき
しかし、何もしていないときに起こることもあります[1]。
ぎっくり腰の痛みは強く、動くことも立ち上がることもできなくなってしまうケースもあります。
ほとんどの場合、発症から2~3日で痛みが和らぎ、1か月未満で自然に治りますが、長期的な慢性腰痛症になることもあります。
身体を動かすことが難しいうちは、安静を心がけたいものです。横向きになって膝を曲げ、エビのように背中を丸めて寝るか、仰向けになって両ひざ下に枕を入れ、体を「くの字」型にすると少し楽になります。
柔らかな布団やソファは腰が沈み込んで負担が増すので、固めの布団を選んで横たわるのがおすすめです。
ぎっくり腰の原因
「ぎっくり腰」とは、急に腰に痛みが出たときの一般名称であり、病名ではありませんので確かな定義は存在しません。痛みが出る原因として、主に以下の2つが考えられます。
・腰の骨や軟骨(椎間板)への負担、捻挫や椎間板損傷など
・腰を支えている筋肉の疲労や、背骨周りの腱・靭帯の損傷
ぎっくり腰は重たい物を持ったときなどに腰にかかる負担が、疲れていたり痛めている腰の強度を上回ることで起こります。
不自然な姿勢で、体重のかかり方がいつもと違ったり、不意に動きを変えたりしたときに、急激な筋肉収縮が起こり痛みが走ることもあります。
中腰や同じ姿勢を長時間続けたときも、注意が必要です。朝には問題がなかったものの、だんだんと腰痛がひどくなり夕方には動けなくなった、ということもあります。
ただし、腰にとどまらず足やおしりにも痛み・しびれが広がる場合や、力が入らないなどの症状があるときは、別の病気の可能性もあります。
すみやかに整形外科を受診しましょう。
もしぎっくり腰になったら?
かつては、ぎっくり腰になったら安静を保つのが一番の対処法とされていました。
しかし現在では安静にしすぎるとかえって回復が遅れることや、再発率が高いことなどが分かってきており、安静が必ずしも有効ではないと考えられています。そのほかにも、以下のことがわかってきていますので、療養の際の参考にしましょう。
・動けないほどの症状がある場合は数日休んでもいいが、長くても4日以上の安静は避ける[2]
・ある程度痛みが引いたら、安静にしすぎるよりも、できるだけふだんどおりに日常生活や仕事をこなすほうがよい[3]
・強すぎるマッサージは症状を悪化させるため避ける
ぎっくり腰の疑問と対処
はじめてぎっくり腰になったときはとまどうものです。ここではよくある疑問と対処についてご紹介します。
腰を冷やすべき?温めるべき?
どちらかといえば冷やすよりも温めたほうがよいとされていますが、気持ちよいほうを選んで構いません[2]。
痛み止めは使用すべき?
痛み止めは消炎・鎮痛剤のことを指します。痛みを和らげるのに役立つだけでなく、筋肉や筋膜、傷んだ腱や関節の炎症をとり、早い社会復帰につながります。
また、慢性的な腰痛になる率を減らすことができることもわかっています[2]。
手元に市販薬がある場合などは使うこともできます。
ただし、胃が弱い方、腎臓機能が弱っている方など、鎮痛薬を使用しづらい場合は薬剤師に聞くなどしてください。
腰痛ベルトをつけたほうがよい?
店頭や通販では、腰を固定するベルトやコルセットも市販されています。こうした商品をつけたほうが痛みが和らぎ、活動しやすい場合は装着するのもよいでしょう。
ただし、長期に渡って習慣的に使うメリットは、あまりないと考えられています[2]。買い物に行くときだけ、通勤の時だけ、何かを運ぶ時だけ、立ち仕事の時だけと限定的に使いましょう。
日常動作のポイントは?
身体の使い方については、以下を意識してみましょう。
・物を持ち上げるとき…必ず持ち上げる物を、身体に引き付けてから持ち上げる
・床にある物を持つとき…一旦ひざを曲げ、腰をまっすぐ十分に下ろしてから、物を引き付け、ひざを伸ばして立ち上がる
・高い位置にある物を取るとき…腰を反らせて背伸びをすると腰痛を招くので、踏み台などを使用する
・洗顔など前かがみになるとき…両足を揃えず前後に開く。足元に片足が乗るくらいの面積で5~10cm程度の厚さのものを置き、ひざを軽く曲げて片足を乗せるのもよい
痛みが治まったら身体を動かして再発予防を
ぎっくり腰の場合、最初の対応を誤らなければ、短期間でよくなる症状がほとんどです。ですが、身体を動かすことへの不安感から普段どおり活動することを避けていると、かえって再発や慢性化を招くこともあります[2]。
痛みがある程度治まったら、積極的に身体を動かしてみてください。また、日頃からよい姿勢を意識し、腰への負担を軽減しましょう。
参考文献
[1]日本整形外科学会. “ぎっくり腰” 日本整形外科学会webサイト https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/acute_low_back.html(参照2019-09-12)
[2]松平浩. “新・職場の腰痛対策マニュアル” 労災疾病等医学研究普及サイト https://www.research.johas.go.jp/22_kin/docs/manual.pdf(参照2019-09-12)
[3] 松平浩. “悩ましい腰痛 安静のしすぎは要注意” 労災疾病等医学研究普及サイト https://www.research.johas.go.jp/22_kin/docs/H&L.pdf(参照2019-09-12)