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糖質制限はゆるめでOK!ダイエットは基礎食品のバランスが重要

  • ダイエット
公開日2023.08.12
最終更新日2023.08.09
読み終わるまで7分

ダイエットの原則は「摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やす」ことです。しかし、摂取カロリーを減らそうと特定の食べものばかり食べていると、栄養バランスが崩れて不健康なやせ方になります。それどころか「不健康でやせない」という最悪のパターンもあり得ます。では、よく耳にする「糖質制限ダイエット」は実際のところどうなのでしょうか?基礎食品との関係を軸に、健康的なダイエットの基本を説明しています。

糖質制限ダイエットとは?

糖質制限ダイエットとは、その名の通り「糖質」という栄養素を制限することで減量を目指す方法です。制限をどのくらいかけるのかで、痩せるメカニズムや注意点が異なります。制限を3段階に分けて詳しく見ていきましょう。

がっつり糖質制限

がっつりと糖質を制限する場合は、糖質を含む食品を極力食べないようにします。主食(ご飯やパンなど)や甘いもの(お菓子や果物など)はもちろんNG。野菜でも糖質が多いものは控え目にします。その分、タンパク質や脂質(主菜や副菜=おかず)をたくさん食べて、1日に必要な摂取エネルギーを満たすという方法です。
 
この方法で糖質制限をすると、脂肪が燃えやすくなり体脂肪が減りやすくなります。もともと体がエネルギーを作り出すときは糖質が最優先されますが、これを制限することにより体内の糖質が少なくなり、その代わりに脂肪がメインのエネルギー源として燃焼されるというメカニズムです。
 
しかし、このような極端な糖質制限は、ダイエット目的としてではなく糖質を厳格に管理する必要がある方が試みるものとされているため、自己流で行うと高いリスクを伴う可能性もあります。実践する場合は、かかりつけの医師に相談するか、糖質制限に詳しい専門家の指導のもとで行いましょう。

ほどほど糖質制限

ほどほどに糖質を制限する場合は、糖質を完全に断つのではなくできる範囲で減らしていきます。たとえば、いつも大盛りにしていたご飯を普通盛りや少量盛りにしたり、パスタに付いているパンをサラダに変えたり、甘いお菓子やデザートを控える、といった方法です。
 
糖質がエネルギー源になることは前述のとおりです。この糖質が過不足なく使われていれば何の問題もありません。ただ、現代の生活においては必要以上に糖質を摂っている場合が多く、その余った糖質が体に蓄えられたものが体脂肪や余分なぜい肉になってしまうというわけです。つまり、この過剰に摂りすぎている糖質を減らせば、当然体脂肪や余分なぜい肉が減る、すなわちダイエットにつながります。

ゆるゆる糖質制限

ゆるめに糖質を制限する場合は、単に糖質を排除するのではなく食品の置き換えで糖質を抑制します。具体的には、同じご飯でも精白米ではなく玄米や雑穀にする、同じパンでも白いパンではなく全粒粉の茶色いパンを選ぶといった方法です。
 
炭水化物には糖質と食物繊維が含まれていますが、玄米や雑穀、全粒粉は、精白米や白い小麦粉と比べると、食物繊維が豊富で糖質が少なめです。同じ量の食事をとっても、豊富な食物繊維が糖質の吸収をおだやかにしてくれるおかげで、血糖値の上昇がマイルドになり、動脈硬化を引き起こす血糖値の急上昇(グルコーススパイク)を防いでくれるとされています[1]。
 
そのため肥満ホルモンとも呼ばれるインスリンの分泌量を減らすことが期待でき、結果としてそれが肥満予防・体重減少につながるのです。

ダイエットするならゆるめの糖質制限「+α」を

糖質制限ダイエットは人気ですが、単に糖質摂取量を減らすことだけを考えるのは健全ではありません。ダイエットはまず元気で健康な体を維持・構築することが前提です。糖質の摂取を減らした場合は、必ずその分、1日の活動に対する必要エネルギーや、血となり肉となり骨となる栄養素であるタンパク質や脂質・ミネラルやビタミンを多く含むものをしっかり摂取するよう心がけましょう

健康的なダイエットを目指すうえで意識したい基礎食品群



  • 1群:魚介類、肉類、卵類、大豆(製品)

  • 2群:乳(製品)、海藻類、小魚類

  • 3群:緑黄色野菜

  • 4群:淡色野菜、果実類

  • 5群:穀類(米、パン、麺)、芋類、菓子類

  • 6群:油脂類



 

食品を大きく6つに分類した「基礎食品群」から食材を選ぶと良いでしょう。難しそう…と思うかもしれませんが、1日3食、主食・主菜・副菜の献立で考えればだいたい以下のような配分になるので、意外とうまくいきます。まずは、この3つのお皿が食事の時に揃うようにしてみてくださいね。



  • 主食:5群(穀類、芋類、菓子類)

  • 主菜:1群(魚介類、肉類など)、6群(油脂類)

  • 副菜:2群(乳、海藻類など)、3群(緑黄色野菜)、4群(淡色野菜、果実類)



 

では、これら6つの食品群の中から何を選んで何を避けるべきか、食品群ごとにポイントを解説します。

1群:魚介類、肉類、卵類、大豆(製品)

1群はタンパク質が豊富な食べものが多く、ダイエット中でもしっかり取り入れたい食品群です。ポイントは「飽和脂肪酸の少ないものを選ぶ」こと。飽和脂肪酸はバターやクリーム、バラ肉、鶏皮、挽き肉に多いので、なるべく控えましょう。赤身肉や鶏むね肉など、脂肪が少ないものを選ぶといいですね。逆に、魚には体に良い脂質(n-3系多価不飽和脂肪酸)が多く含まれているので、ぜひ脂ののった旬の魚を選んでください。

2群:乳(製品)、海藻類、小魚類

ダイエットで怖いのが、知らず知らずのうちに骨の健康を損なってしまうこと。カルシウムが豊富な牛乳や小魚はぜひ積極的にとりましょう。カロリーが気になる方は、牛乳や乳製品は低脂肪のものを選ぶとよいでしょう。また、腸の環境を整えることも大切です。
 
ダイエット中は便秘になりやすいため、ヨーグルトなどで乳酸菌をとりいれるとともに、腸内細菌のエサとなる海藻類を食べることもおすすめします。

3群:緑黄色野菜

3群もぜひ積極的にとっていただきたい食品ばかりです。ほうれん草、ニンジン、かぼちゃなど、鮮やかな色をした野菜にはビタミンAやC、鉄などの栄養素と食物繊維も豊富に含まれています。皮膚や粘膜の健康を保ってくれるので、健康的なダイエットと美肌を目指すうえでも必須の食品です。

4群:淡色野菜、果実類

食物繊維は食事のかさを増し、噛みごたえがあって満腹感を得やすいうえ、カロリーは低く非常にダイエット向きの栄養素です。大根やキャベツ、白菜などの淡色野菜やキノコ類を含む4群の食品が特に強い味方になってくれます。
 
さらに、血糖値の急激な上昇を抑えて、体に脂肪がつきにくくなる効果も期待できます。食物繊維のほか、ビタミンの供給源としてとても重要です。果物もビタミンや食物繊維が多く含まれますが、糖質過多にならないよう甘い果物の食べ過ぎには注意してください。

5群:穀類、芋類、菓子類

5群に含まれる糖質は、すぐに使えるエネルギー源となり、日々の活動を支える大事な栄養素です。ご飯であれば食べ過ぎに注意してお茶碗1杯(150g)を目安に、主食として毎食摂りましょう。
ゆるめの糖質制限として実践するポイントは、前述したとおり白米ではなく麦飯、玄米、胚芽米、雑穀を、白いパンよりも全粒粉やライ麦の入ったものを積極的に食べることです。
 
また、芋類も糖質や食物繊維のみならずビタミンを含む優秀な食材なので、ぜひ活用してください。菓子類も5群に含まれていますが、精製された糖質や脂質に偏りやすいため、基本的には日々の食事には含めないようにすると良いでしょう。

6群:油脂類

ダイエットをするうえで最も気を付けたいのが6群の油脂です。ただし、人間の体内で作り出せない必須脂肪酸の供給源でもあるので「完全カット」はおすすめしません。比較的体に良い脂質(不飽和脂肪酸;えごま油、アマニ油、オリーブ油、キャノーラ油、大豆油など)や、体につきにくい油(中鎖脂肪酸)などを選ぶと良いでしょう。
 
バターやラードは飽和脂肪酸が多いので、なるべく避けるようにしてください。マーガリンやショートニングにはトランス脂肪酸という特殊な形の脂肪酸が含まれており、健康にあまり良くないことが分かっています。これらは加工食品でよく使われているため注意しましょう。

ダイエット中だからこそ、食べることを楽しもう!

日々の食生活に基礎食品群を取り入れるのはむずかしく感じるかもしれませんが、主食・主菜・副菜を食材ごとに見てみると、そこまでハードルは高くありません。特に、昔ながらの和食の献立はダイエットの参考になりますよ!
 
ダイエットは「つらさ」が強調されがちですが、色々な食材をまんべんなく食べるという意味では、以前の食生活より豊かになるため、食べるのが好きな人には特におすすめの方法です。ぜひ、この記事を参考にして、食生活を楽しみながら健康的にダイエットしましょう。

参考文献

[1]糖尿病患者における食品の摂取順序による食後血糖上昇抑制効果 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/53/2/53_2_112/_pdf

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