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花粉症や紫外線による目のダメージをケアし、瞳の健康を保つ|秋山 友紀子

  • リラックス
公開日2023.03.07
最終更新日2023.07.31
読み終わるまで12分

環境省によると、今春の花粉の飛散量は「関東などでは過去10年で最も多くなる」との見込みです。つらい症状に悩んでいる人も多いのでは? 眼科専門医の秋山先生は、花粉症の相談が年々増加していると感じているそうです。

Profile
プロフィール
秋山 友紀子
日本眼科学会認定専門医

東京女子医科大学卒業。東京女子医科大学病院、総合病院などの勤務を経て、2017年より医療法人社団健翠会 白金眼科クリニックの院長に。2021年から、あきやま歯科眼科でも眼科診療を担当。アイケア・アイメイク商品の開発アドバイザーを務めるほか、眼科医の立場からまつ毛エクステの安全な施術についてセミナーを開催するなど、アイリストへの啓蒙活動も行う。

URL 白金眼科クリニック

花粉症の相談が年々増加、PM2.5の影響も?

環境省によると、今春の花粉の飛散量は「関東などでは過去10年で最も多くなる」との見込みです。つらい症状に悩んでいる人も多いのでは? 眼科専門医の秋山先生は、花粉症の相談が年々増加していると感じているそうです。
 
「スギ花粉は1月から4月に飛散しピークは3月中旬といわれますが、今年は昨年末から飛散していた様子です。多くの方が目のかゆみ、充血、まぶたの腫れなどの症状に悩まされています。
これらは花粉が原因で起こる季節性アレルギー性結膜炎なのですが、花粉の暴露量が発症に関係するため、ある日を境に突然症状がでたり、飛散量が多い日だけ症状がでたりすることもあります。近年は低年齢化も顕著で、2歳~3歳の子どもが目のかゆみで来院したケースもあります」

PM2.5の影響も気になると秋山先生は続けます。
 
「アレルギー検査で花粉は陰性なのに、目のかゆみなどの症状がある方は、PM2.5の影響も考えられます。ただ、PM2.5のアレルギーの証明は難しいのです。一般的なアレルギー検査では、血液の抗体を調べてアレルギーの有無を判定しますが、PM2.5は化学物質のため抗体ができません。
 
含有されている化学物質を目に点眼したり、皮膚にたらしたりして症状の有無を見る実験でしか証明できず、まちのクリニックで検査するのは難しいのです」あくまで予測ではありますが、血液検査では陰性なのに花粉症の症状がある方、PM2.5の飛来により症状が悪化する方は、PM2.5の影響の可能性もありそうです。
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眼科医が教える。正しい花粉症対策&ケア

秋山先生によると、自分でできる花粉症対策は「花粉をつけない」「持ち込まない」「吸い込まない」の3つ。外出先ではゴーグル型のメガネとマスクをつけ、帰宅したら洋服についた花粉をウェットティッシュなどで拭いて静かに落としましょう。
またPM2.5も花粉と同じく空中に飛散しているアレルギー物質なので、対策方法も同様です。最近は天気予報でPM2.5の情報が出ていますので、飛散量の多い日は洗濯物を室内で干すとよいでしょう。
帰宅後に目に入った花粉などの汚れを洗い流すのもおすすめです。「点眼タイプの洗眼薬がよいですね。
 
カップを使用して洗うタイプだと、目の周囲についた花粉がかえって目に入ってしまうことがあるので注意が必要です」

花粉症で悩むのが、内科、耳鼻科、眼科のどこを受診するか。目の症状がひどいなら、やはり眼科を受診するのがよさそう。
 
「抗アレルギー薬であれば、内科や耳鼻科の処方で問題ないのですが、症状が改善しない場合に使うステロイド点眼薬は眼科での処方が推奨されています。というのも、大きな副作用が2つあるからです。
1つは免疫抑制作用により目の周りの細菌が増えて結膜炎などになる場合があること。2つめは、眼圧が高くなる場合があることです。
 
ステロイドの使いすぎにより眼圧が上がったら、すぐに投薬を中止しないと後遺症が残ることもあります。そのため、眼科医が副作用をチェックしながら使用するのが望ましいのです」ヒアルロン酸成分の入った保湿用の点眼薬を使うのもよいそう。
 
目の表面は涙や脂質でおおわれていて、これがバリアのような役割を果たしています。このバリアが弱いと花粉などのアレルゲンが粘膜下まで侵入しやすくなるからです。
 
事前の対策としては、飛散の2週間前から抗アレルギー点眼薬や内服薬を使う方法があります。「花粉が飛散する2週間ほど前からはじめる治療を初期療法といいます。症状がでる期間を短くし、軽症にする効果が期待されています」と秋山先生。
 
また、まぶたが乾燥していると皮膚のバリアが弱い状態になり、腫れやすくなるので、日ごろから目の周りの保湿を意識することも大切。炎症があるときは、目元のメイクは悪化の要因になります。アイライン、まつ毛エクステ、まつ毛パーマは避けた方が無難です。

実は怖い紫外線の影響、目の充血から白内障まで

一方、紫外線は3月ごろから強くなりはじめ、5月から8月にピークを迎えます。「紫外線は目に必要な光線ですが、過剰になると健康被害を及ぼします」と秋山先生。その影響は、皆さんが思うよりも深刻かもしれません。
 
「強い紫外線に長時間あたると、角膜炎(黒目の炎症)や結膜炎(白目の炎症)が起こり、目の充血や、目がゴロゴロする、涙が増えるなどの症状があらわれます。
慢性的に強い紫外線にあたっていると瞼裂斑(けんれつはん)という白目に着色や隆起が起こる病気になったり、さらに悪化すると隆起部分が黒目にまで入り込む翼状片(よくじょうへん)という病気になったりします。
 
これらが進行すると視力が低下し、手術が必要になることもあります」加齢が主な原因として知られる白内障も、多量の紫外線にあたることで進行が早まるそう。学生時代に屋外で部活をしていた方、趣味でゴルフ、テニス、マリンスポーツをしている方などが30歳代以降に発症することが多いといいます。
 
さらに美容面で気になる情報も。「目から入った紫外線は、人間の脳にメラニン色素をつくるよう指令を送ります。せっかく日焼け止めを塗っていても、紫外線を目に浴びることでお肌のシミの原因になることがわかっています」

意外な紫外線対策 サングラスは薄い色が正解!

紫外線による目のダメージを少なくするためには、サングラスや帽子をして出かけるといった日々の対策が大切。ポイントは、サングラスの選び方です。
 
「皆さん、レンズの色が濃いほど紫外線をカットできると思いがちですが、色の濃さと紫外線カット率はまったく別もの。逆にレンズの色が濃いと瞳孔が開くため、目にたくさんの紫外線が入ってしまいます。
 
レンズの色が薄いと光をあびたときに瞳孔が縮むため、目に入る紫外線量が少なくなります。つまり、サングラスの色は薄い方がよいのです」サングラスは紫外線カット率90%以上がおすすめ。それならクリアレンズでも問題ありません。
 
眼科で処方されるコンタクトレンズは紫外線カット入りがほとんどですが、目全体はカバーできないので、さらにサングラスをつけるのが理想的です。
 
紫外線による症状を感じたら、眼科を受診しましょう。一時的なケアとしては、花粉症の対策と同様に、ヒアルロン酸成分入りの保湿用点眼薬で目のうるおいをキープするのもよいそうです。

気になる症状があれば、眼科の受診を

花粉症や過剰な紫外線をあびて起こるのが、目の充血や、目がゴロゴロするといった症状。ただ、よくある症状のため、この程度で眼科を受診してよいのか悩む人もいるでしょう。
 
「気になる症状があれば、ぜひ受診してください。目の充血といっても、原因が花粉などのアレルギーか、紫外線によるダメージかにより処置は変わります。そのどちらでもなく、眼精疲労から同じような症状がでることもあります。まずは原因を探り、適切なケアを行うことが大切です」


インタビューを終えて

初めて知る情報が多く、今まで間違った対策やケアをしていたものもあり驚きました。目の健康の維持は、将来のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)にも関わる重要な課題。花粉症や紫外線のダメージから正しく目を守り、いつまでも健康的な瞳を維持していきたいですね。
 

参照
眼精疲労ついては下記の記事も参考ください

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