つらい冷え性の原因は身体の内側!?日常生活の中で対策できる4つの冷え改善方法
- リラックス
最終更新日2023.02.06
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ほかの人が寒く感じないときに寒いと感じたり、手足や腰に冷えを感じたりする冷え性。手足の冷えでなかなか眠れなかったりする日が続くとつらいですよね。冷え性はそれ自体が病名ではありませんが、自律神経の乱れや筋肉量の低下、衣服による締めつけなどによる血行不良の状態と考えられます。また、冷え性はなぜ起こるのでしょうか。そのメカニズムと、それを引き起こす原因を踏まえ、すぐにできる血流改善の対策や、冷えやすい体質を変える簡単な習慣をご紹介します。
日本人だけが「冷え性」になる?
病気だと思われがちな冷え性ですが、実は冷え性(冷え症)という病名はなく、その定義も確立されていません。実は「冷え」に関する研究論文も、日本以外にはほとんどみられないのです[1]。しかし、医学的にいうなれば「手足が血行不良になっている状態」といえます。
ツボや食べ物による対処法を聞いたことがある方もおられるかもしれません。これらは「冷え」を治療の対象としてとらえる東洋医学の考え方です[2]。
病気でないとはいえ、寒くて夜中に目が覚める、外出がおっくうになるほどの冷えは少しでも改善したいものです。冷え性はどのようなことが原因で起こるのでしょうか。
冷え性の原因
冷え性は、主に末梢の血行不良によって起こるものと考えられています。血行不良が起こる原因は、自律神経の乱れのほか、筋肉量の低下、きつい下着などによる締め付けなどが考えられます。それぞれの原因を詳しく見てみましょう。
自律神経の乱れ
体温や血行をはじめ、自律神経の乱れは身体のさまざまな働きに影響します。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、状況に応じてどちらかが活発に働いて身体を調節しています。興奮しているときやストレスを感じているときなどに活発になる交感神経は、血管を収縮させる働きを持っているものです。血管が収縮すると皮膚の表面近くを流れる血液が少なくなり、体内で作られた熱が行きわたりにくくなります[3]。
熱が行きわたりにくくなるということは、身体の表面が冷たくなりやすいということ。特に手足の先には毛細血管が集中しているため、交感神経が活発に働く状態が続くと冷えやすくなります。
自律神経の乱れはさまざまな原因で起こります。例として、ストレスと女性ホルモンのバランスの乱れがあげられます。
ストレス
人は多かれ少なかれストレスを受けて生活しているものです。しかし、過度なストレスがかかり続けると、交感神経が活発な状態が続いて自律神経のバランスが乱れてしまいます[4]。ストレスと聞くと精神的なストレスを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしそれだけではなく、暑さ・寒さといった気候や病気など、身体に負担になるものもストレスに含まれます。
女性ホルモンのバランスの乱れ
2種類の女性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌バランスの乱れは自律神経の乱れにつながります[5]。無理なダイエットによる栄養状態の悪化や更年期、ストレスなどが関係します。
筋肉量の低下
筋肉の運動は、熱を作り出す役割や血液を循環させるポンプの役割を持っています。運動不足などによる筋肉量の低下は、発熱機能の低下と同時に血流の悪化を招くため、身体が冷えやすくなります。
特に女性は男性より筋肉が少なく、加齢や運動不足などで筋肉量が減ると、冷えやすくなるため注意が必要です。しかし最近では、男性にも冷え性が増えています。その原因の1つとして、車や電車などの交通手段の発達にともなって運動する機会が減り、筋肉量不足になっていることがあると考えられます。
衣服などによる血行悪化
コルセットやサイズの小さい下着での物理的なしめつけ、血行の収縮を促す寒い場所での薄着は血行を悪化させるため、冷え性につながります。
このように、冷え性につながると考えられる要因は多くあります。これらに対する、日常生活のなかでできる改善方法をご紹介しましょう。
日常生活に取り入れられる冷え性の改善方法
ストレスのコントロール
自律神経の乱れも、冷えを引き起こす原因です。日頃からストレスをためないような生活を送ることも、予防のひとつになります。
マッサージやストレッチも有効
冷え性を改善するには、全身浴や足浴のほか、足指ジャンケンなどで足指を動かして血行をうながすのが効果的です。オフィスで足が冷えたり、夜に足が冷えて眠れなかったりするときは、足指を思いきりグー・チョキ・パーと動かしてみましょう。お気に入りの入浴剤を入れた湯舟につかってマッサージをすれば、リラックス効果も高まります。
冷えにくい身体を目指すためには、周りの環境や食生活の見直しのほか継続的に運動して筋肉を増やすことが大切です。
病気ではないといっても、冷え性の症状はつらいもの。自分に思い当たる原因から改善を始めてみてはいかがでしょうか。
冷え性にすぐできる血行改善の対策法
冷え切った手足はできるだけ早く温めたいもの。血行を改善して手足を温める対策方法をご紹介します。
血行促進のマッサージ
ふくらはぎを中心にマッサージをし、足の血行を促進します。
筋肉には、動くことで血液の循環を助けるポンプの役割があります。特に足は心臓から遠く、ふくらはぎの筋肉によるポンプ機能は足の血液を戻すうえで重要な役割を果たしています。しかし、現代のライフスタイルでは座りっぱなし・立ちっぱなしの時間が多く、ふくらはぎの筋肉が十分に動かないことが多いのです。
ふくらはぎを下から上にさするようにマッサージして、血のめぐりを助けましょう。手でマッサージをするときはクリームをつけてすべりをよくし、肌に負担をかけないようにしながら行います。足先から足首、足首からひざ裏へとさすってください。
手でマッサージするのが億劫なときは、マッサージ器を使うのがおすすめです。最近では脚専用のマッサージ器や、ふくらはぎや足裏までマッサージできるチェアもあり、選ぶのも楽しみになるかもしれません。
入浴・足湯
お風呂にゆっくりつかったり、足だけお湯につける足湯には血行促進を期待できます。
お風呂につかる場合、身体の冷えが気になると熱いお湯に入りたくなるかもしれませんが、熱すぎるお湯は交感神経を活発にし、血管を収縮させてしまいます。40℃以下くらいのぬるめのお湯に肩までしっかりつかりましょう。
なお、40℃のお湯に20分ひざから下をつける足浴だけでも全身が温まったという報告もあります[6]。足湯をしながら本を読んだりして、リラックスして過ごせるとよいですね。
足指ストレッチ
足の指を動かすと足先の筋肉が動き、血行改善に役立ちます。
ストレッチと言っても、立ったり床に座ったりする必要はありません。思いついたときに足指をグー・チョキ・パーとゆっくり動かすだけ。オフィスでエアコンの冷えが気になるとき、こっそり靴を脱いでやってみてもいいかもしれませんね。
身体を温める食品をとる
東洋医学には食養生と言う考え方があり、その中で食品は身体を温めるもの、冷やすもの、中間のものに大まかに分類されています。冷え性の対策には、身体を温める食べ物を積極的に摂るのがおすすめです。
たとえば、乾燥生姜は身体を温めてくれる食べ物なので、オフィスにジンジャーパウダーを常備して寒いときにはお湯や紅茶に入れて飲んだりするのもよいでしょう。一方、コーヒーや緑茶などは身体を冷やす「陰性食品」と考えられているため、摂りすぎには注意が必要です。
いわしやまぐろといった魚、牛肉・羊肉も身体を温める食べ物に分類されます。タンパク質は筋肉のもとにもなるので積極的にとるのがおすすめです。ただし、これらの食品をとっても、栄養バランスが偏るのはよくありません。身体のさまざまな機能が働くのに欠かせないビタミンやミネラルが不足しないよう、野菜などもバランスよくとりましょう。
ここまでご紹介した方法は、いずれも冷えをすぐ解消するのにとり入れたい方法です。あわせて冷えやすい身体を変える対策も生活にとり入れてみませんか。
継続したい冷え性対策
ストレスとうまく付き合う
自律神経の乱れも、冷えを引き起こす原因です。日頃からストレスをためないような生活を送ることも、予防のひとつになります。とは言っても具体的にどうすればよいのでしょうか。
ストレスを強く感じている場合、その原因から可能な範囲で距離を置いてみましょう。また、新たなことを始めようとせず、「休む」ことに集中し、エネルギーをなるべく使わずチャージすることも大切です。特に睡眠時間は優先的に確保するようにしましょう。
また、リラックス効果の高いハーブティーを飲んだり、信頼できる人に話を聞いたりしてもらうのもよいでしょう。起きたときに朝日を浴びるのも効果的だといわれています。
運動習慣をつける
身体を冷えにくくする方法のひとつとして、熱を作り出す筋肉の量を増やすことがあげられます。筋肉量を増やすために運動すればそれだけでも温まりますし、筋肉のポンプ機能がしっかり働いて血行もよくなります。
筋肉を増やすと聞くときつい筋トレなどをイメージしがちですが、通勤や買い物のときの歩き方を見直したり、今より少し遠回りしたりするだけでも運動量が増えます。意識して家事をテキパキとこなしたり、歯みがきをしながらかかとの上げ下げをしたりといったちょっとした運動をとり入れてみましょう。
こうして見てみると、冷えない生活は、心身ともに健康的な生活だともいえます。応急処置を行いながら継続的に生活を見直し、冷え性を改善していきましょう。
参考文献
[1]山王丸靖子ほか. 若年女性の冷えと食および生活習慣との関連, 日本食生活学会誌 (2016; 26(4): 197-204)
[2]中村幸代. 「冷え症」の概念分析, 日本看護科学会誌 (2010; 30(1): 62-71)
[3]尾形優. 冷え症の生理学的メカニズムについて, 日看技会誌 (2017; 15(3): 227-234)
[4]厚生労働省. “自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)” 厚生労働省 e-ヘルスネット(参照2019-11-25)
[5]四国こどもとおとなの医療センター. “<おとな>vol.06 更年期障害について” 四国こどもとおとなの医療センターwebサイト(参照2019-11-25)
[6]テルモ体温研究所. “その他の生活習慣と冷え性” テルモ体温研究所(参照2019-09-11)