【冷え性改善】ツライ手足の冷えには内側と外側からのアプローチを!
最終更新日2024.03.18
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布団に入っても足が冷たくてなかなか眠れない、ときに痛みを感じたり、感覚がなくなるほど冷えてしまう…そんな人も多いのではないでしょうか?空調や冷たい飲み物で冷える夏はもちろん、冬の本格的な寒さが到来する前に早めの対策をして備えましょう。「冷えやすい体質だから…」とあきらめる必要はありません。冷え性は、体の内側と外側からアプローチすることで十分に改善が見込めます。まずは冷え性になる要因を知り、対策をして改善に役立ててくださいね。
手足の冷えはなぜ起こる?
ほかの人が寒いと感じない環境でも寒かったり、常に手足などの体の末端や、腰から下に冷えを感じる「冷え性」。体内の熱をすみずみまで運搬する血液の量が不十分でめぐらせることができないため、特に末端が冷えやすくなる状態です。冷え性そのものは病気ではないものの、末端が血行不良になっている状態なので、悪化すると冷えからくるほかの症状を招く恐れもあります。
自律神経やホルモンバランスの乱れ
自律神経は、血管の拡張・収縮、内臓の動きなど身体のさまざまな働きを無意識のうちに調節する神経です。交感神経と副交感神経が周囲の状況に合わせて交互に活性化し、身体を調節しています。この自律神経のバランスが乱れると、血管が収縮して末梢の毛細血管まで十分な血液が届きにくくなります。
ストレスなどに反応して活性化する交感神経は、血管の収縮を促す作用を持っています。血管が収縮すると皮膚の表面近くを流れる血液が少なくなり、体内で作られた熱が行き渡らずに冷えやすくなるのです[1]。そのため、過度なストレスやホルモンバランスの乱れの影響によって、交感神経が優位な状態が続くと冷え性につながりやすくなります。ストレスは精神的なものに限らず、気温差や湿度など、体の負担となるものも含まれます。
運動不足や筋力の低下
運動によって伸び縮みする筋肉には、熱を生み出し、血液循環を助けるポンプの役割があります。しかし、移動手段の発達によって歩く機会は大幅に減り、運動不足の人が増えている現代。運動不足だと筋肉が動く時間が減ることで、筋肉量も減り血行不良の悪化につながります。筋力が低下することで熱を生み出す力も弱まり、全体的に冷えを感じやすくなるのです。こういったことから、筋肉量の少ない女性に比較的多いと言われてきた冷え性ですが、近年では男性でも冷えを感じる人が増加しています[2]。
物理的な血行不良
サイズの合わない下着やタイトな衣服による締めつけ、寒い環境での薄着なども血行を滞らせ、冷えにつながります。ファッション性を重視するあまり、日ごろこういった服装を選んでいる場合は注意が必要です。
手足の冷えを改善する内側からのアプローチ
手足の冷えを改善するためには、まずは冷え性の要因に該当するか確認し、該当する場合は早めに見直していきましょう。日常生活のなかでできる簡単な改善方法を紹介します。
食事の見直し
手足の冷え性を改善するためには、体の内側と外側からさまざまなアプローチが考えられます。体の内側からできるアプローチとして、まずは食事を見直してみましょう。
食事で意識したいのは、まず筋肉の材料となるタンパク質やビタミン、ミネラルを摂取することです。ビタミンやミネラルは、緑黄色野菜や海藻類などに豊富に含まれています。肉や魚、大豆製品をはじめとした豆類は良質なタンパク質源です。もし、これらを抜いてしまう偏ったダイエットをしている場合はすぐに見直しましょう。体が冷えることで基礎代謝量が下がり、太りやすくなってしまう可能性もあります。
また、東洋医学には「食養生」という言葉があります。これは、それぞれの食材が持つ性質を活かし、食べることで健康な状態を保ち、養生するという考え方です。東洋医学では、食材は主に陰陽に分類され、温熱性の食材を陽、寒涼性の食材を陰とします。体を温める食べ物の代表が生姜。汁物にちょっとプラスしたり、紅茶に入れるなどさまざまな用途があるので、積極的にとり入れてみてください。そのほか、山椒やニラ、ネギなどの香味野菜や、鮭、海老、羊肉なども体を温める食べ物とされています。栄養バランスを考慮しつつ、これらの食材を積極的に選んでみましょう。
冷たい食べ物や飲み物を摂りすぎない
暑い夏でも、体を冷やす冷たい物は控えたほうが良いでしょう。食べ物や飲み物が体内に入ると、消化するために胃に血液が集中しますが、極端に冷たいものが取り込まれた場合、体温調節のためにより多くの血液を必要とします。そのため、常に冷たいものを口にしていると、血液が常に胃や内臓に集中して消費され、末端へ届ける分の血液が不足して冷えを悪化させるのです。
飲み物は常温か、温かいものを選びましょう。温性のジャスミンティーやシナモンを使ったホットワイン、黒糖ジンジャーティーなどもおすすめです。温性ではないものの、黒豆は補血作用があるため黒豆茶として飲むのも冷え性改善に適しています。
手足の冷えを改善する外側からのアプローチ
深刻な冷え性には、内側からのアプローチに加え、外側からもしっかりと対策していきましょう。
適度な運動を習慣化させる
運動には、筋肉を動かして熱を作り出すほか、血液循環をよくして末梢まで血液がめぐりやすくするはたらきや、ネガティブな気分を発散し心身をリラックスさせ、睡眠リズムを整える作用もあります[3]。さらに、定期的に運動を続ければ筋肉量が増え、熱を生み出す量が多くなるので、より温まりやすい体に近づけるでしょう。
筋肉を鍛えるといっても、ジムのマシントレーニングのようなストイックな筋トレは不要です。運動する習慣がない人でも、姿勢良く早足で歩くことを意識したり、いつもより少し遠回りするだけでも運動量がアップします。エスカレーターやエレベーターを使わず、階段を登ることを心がけるのも良いですね。日常の工夫で運動量は増やせます。少しずつ運動量を増やし、習慣として続けるようにしましょう。
お風呂で温める
お風呂に入ると体が温まり、手足だけでなく全身の血行が良くなりますが、このときに気をつけてほしいのがお湯の温度です。体を芯まで温めるには、40℃くらいのぬるめのお湯が良いという報告があります。入った瞬間に「熱い」と感じてしまうほどのお湯は、交感神経を刺激して末梢の血管収縮を招くため、体の表面しか温まりません。
また、40℃のお湯に20分ひざから下をつける足浴だけでも全身が温まったという報告もあります[4]。ゆっくりお風呂につかるのが難しい場合は、足浴だけでも試してみてくださいね。
ストレッチやマッサージをする
足を手軽に温めるには、足の指を思いっきり動かしてみましょう。力いっぱい足の指でグー・チョキ・パーを作るだけでも、足の筋肉が刺激され、血行も良くなります。手は、指先をつまんで刺激を与える「指ヨガ」がおすすめです。オフィスでの仕事中や、夜布団に入ったときなど冷えが気になるときに試してみましょう。
運動してふくらはぎの筋肉を動かすことはもちろんできますが、マッサージでも血のめぐりを促進できます。気が付いたときに足先からひざ裏にかけてさするだけでもOK。お風呂のなかや寝る前などもおすすめです。最近では、ふくらはぎをケアできるマッサージ器も増えています。
冷え性改善のポイントはめぐり
手足の冷えが気になると、その部分だけを温めれば良いと思うかもしれませんが、全身を温め、血のめぐりをよくすることが根本的な解決につながります。さらに、全身の血流がよくなれば、むくみや肩こりなど、血流悪化が原因となって起こるそのほかの不調が改善する場合も。十分な血液がすみずみまで行き渡ることで、髪や肌のツヤもアップしますよ。この冬は、早めの対策でほかほか手足を手に入れましょう!
参考文献
[1]尾形優. 冷え症の生理学的メカニズムについて, 日看技会誌 2017; 15(3): 227-234
[2]養命酒酒造. “女性だけでなく男性や子ども、夏の冷えも増えている” 養命酒酒造webサイト. https://www.yomeishu.co.jp/sp/health/mibyou_prevention/hie_sign/p2.html(参照2019-11-29)
[3]厚生労働省. “体を動かす” こころもメンテしよう. https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_01.html(参照2019-09-11)
[4]テルモ体温研究所. “その他の生活習慣と冷え性” テルモ体温研究所. https://www.terumo-taion.jp/health/hiesyo/05.html(参照2019-09-11)