「走るダイエット」で脂肪燃焼!ジョギングとランニングはここが違う
最終更新日2024.03.15
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ジョギングやランニングはウォーキングよりも運動強度が高く、スローペースでも脂肪を燃焼できるため、ダイエットしたい方にぜひ取り組んでもらいたい運動です。しっかり走り切れるようになるには、無理せず少しずつ体を作り、ケガのないよう正しいフォームを知ることが大切。今回は、まったくの初心者がジョギングやランニングを続けられるようになるためのステップを中心に解説します。
「ジョギング」と「ランニング」ってなにが違うの?
ジョギングとランニングは同じ長距離走ですが、走る目的に違いがあります。ジョギングは、健康維持や体力維持のためにタイムを定めず軽く走ったり、激しいスポーツのウォームアップやクールダウンを目的として行われます。走るスピードは比較的ゆっくりで、隣の人と会話ができるくらい余裕のあるペースが目安です。一方、ランニングはタイムや距離を重視し、レースなどを目指す走り方とされています。
消費カロリーはどれくらい?
ジョギングとランニングでは、走る速さによって運動強度が違うため、それに比例して消費カロリーも変化します。
脂肪を燃焼させるには、週に10メッツ・時以上の有酸素運動を行うと良いという報告があります[2]。メッツとは、厚生労働省によって定められた身体活動の強さを安静時の何倍に相当するかで表す単位で、座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行が3メッツに相当します。
運動の消費カロリー(kcal)=1.2×(メッツ-1)(kcal/kg/時)×運動時間(時間)×体重(kg)
やや速足のウォーキング、ジョギング、ランニングの強度は、平成25年に厚生労働省から発表された資料では以下のように定義されています[1]。
- やや速足ウォーキング(93m/分):4.3メッツ
- ジョギング:7.0メッツ
- ランニング(134m/分):8.3メッツ
仮に、体重50kgの人がそれぞれの運動を30分ずつ行った場合の消費カロリーは、以下のとおりです。
- やや速足ウォーキング(93m/分):99kcal
- ジョギング:180kcal
- ランニング(134m/分):219kcal
同じ時間続けられるなら、ランニングはやや速足でのウォーキングに対して倍以上のカロリーを消費できるということです。また、週に10メッツ・時以上の運動量を実現するには、それぞれ1週間あたりに必要な時間も異なります。
- やや速足ウォーキング(93m/分):約2時間20分
- ジョギング:約1時間25分
- ランニング(134m/分):約1時間12分
無理のない範囲であれば、ランニングがより短い運動時間で効率的に脂肪を燃焼できることになります。とはいえ、今まであまり運動していなかった人がいきなりランニングをしようとしても難しいものです。段階的に体力と心肺能力を高めて、長い距離を走れるように習慣化させていきましょう。
初心者でもOK!3ステップで無理なくランニングをはじめよう
普段あまり運動をする習慣がないという人は、ここで紹介する3ステップで徐々に走れる体を作り上げていきましょう。
ステップ1:まずはウォーキングから
ジョギングやランニングよりも運動負荷が少ない有酸素運動がウォーキングです。少し汗ばむくらいの速さで歩くようにしましょう。移動する際は階段を使ったり、車や自転車に乗らず歩いたりと、日常の工夫で歩く機会は増やせます。慣れてきたら長距離を歩くことも意識しましょう。5kmを1時間くらいで歩ければ、体力がだいぶ上がってきているでしょう。
ステップ2:ウォーキングとジョギングを交互に
体力がついてきたら、次はウォーキングとジョギングを5kmほど続けられることを目標に取り組みましょう。はじめの1kmほどはウォーキングで体を温め、その後ゆっくりとジョギングを行います。ジョギングは歩く速さと同じくらいゆっくり走るだけでも十分です。走っていて疲れたら早足のウォーキングにし、疲れが回復してきたらまた走る、を繰り返しましょう。
ステップ3:徐々にジョギングからランニングへ
ウォーキングとジョギングを交互に繰り返し5kmの中で走れる距離を伸ばしたら、次は同じ距離を短時間で走れるように意識しましょう。ただし、体への負担を少なくするには、速さだけにとらわれず、走り方にも注意してください。
ジョギングやランニングをする際の注意点
ステップアップしてランニングが続くようになっても、以下のポイントに気をつけましょう。
水分補給を忘れずに
汗をかくと、水分とともに体内のナトリウムも流れ出ます。そのため、水分だけでなくナトリウムも補給することが大切です。汗をかいてナトリウムを失ってもなお水だけをとり続けていると、体液のナトリウムの濃度が低くなります。体はナトリウム濃度を一定濃度に保つため、せっかくとった水分を排出してしまい、脱水状態が回復しないので同時に摂取することが重要です。特に多く汗をかく夏場は、水分だけでなくスポーツドリンクなどでナトリウムも補いましょう。
走る時間帯を選ぶ
運動すると体温が上がりますが、その熱を放出できないと体温が上がり続けてしまい、運動のパフォーマンスが悪くなります。熱中症の危険がある真夏の日中はランニングを避け、朝や日没後などの比較的涼しい時間帯をねらいましょう。日陰の多いランニングコースを選んだり、水や氷で体を冷やしながら走ったりするのもよいでしょう。天気によっては、ジムのランニングマシンなどでトレーニングするのもおすすめです。
正しいフォームを意識する
ジョギングやランニングなどの長距離走は、全身の動きの一つひとつを、最も機能的で効率的なフォームに整えることで、身体にかかる負担を軽減することができ、疲れにくくすることもできます。マラソン選手の走り方を見ると、着地した脚の膝が伸び切らず、足が膝より前に出ていないように見えます。実はこれが疲れにくい走り方の1つ目のポイントです。膝と足首を結んだ線が地面と垂直になるように走ることで、重心をできるだけ同じ高さに保ちながら着地によるブレーキを少なくできます。また、足裏全体をつけてぐっと踏み込むイメージで走るのも疲れにくい走り方のコツです。
また、ひじは直角もしくはそれ以上にコンパクトに曲げ、力まず腕を振りましょう。後ろへ大きく振りすぎず少しだけ肩甲骨を寄せ、胸が開くようなイメージで走ると無駄な力が抜けますよ。
さらに、胸を開いたまま背中を伸ばした姿勢で10~15度、上半身をやや前傾させると体を支えようと自然と足が前に出ます。その姿勢をできるだけキープしながら続けると、疲れにくいでしょう。ジョギングの後はストレッチをして筋肉をクールダウンすることも大切です。
【筋トレ】ジョギングやランニングに+αでダイエットを加速!
正しいフォームを身につけることでエネルギーを効率良く使い、長く走れるようになります。
特に鍛えたいのが、お腹の筋肉(腹直筋、腹斜筋、腸腰筋)を中心とした体幹の筋肉と、太ももやふくらはぎといった下半身の筋肉です。早足のウォーキングやラジオ体操などで全身を軽く温めた後、筋トレをひととおり行ってからジョギングをすると、筋肉がしっかり温まった状態で走り始められます。また、筋トレ後は脂肪分解を促進する成長ホルモンの分泌量も増えるため、脂肪を減らしたい人にもジョギング前の筋トレはおすすめです。
体幹を鍛えるトレーニング
体幹を鍛えるには、体を両ひじと両足のつま先の4点で支えるフロントブリッジやプランクと呼ばれるトレーニングがおすすめです。
- うつぶせになり、両ひじを床につける
- 両ひじとつま先だけをつけ、体を浮かせる
- 身体が一直線の状態をできるだけ長くキープする
まずは3を10秒キープ、慣れてきたら20秒キープを目標に。インターバルを10~15秒入れながら3セットを目安にしましょう。お腹に力が入っているのを感じながら、姿勢に気をつけて行うのがコツです。お尻や頭が上がり過ぎることがあるので、最初は横に鏡を置いて確認しながらやってみましょう。つま先だけで支えられない初心者の方は、膝をついたフォームから始めてもかまいません。
太ももを鍛えるトレーニング
太ももの筋肉を鍛えるには、足を前後に開いたスクワットがおすすめです。
- 両足を前後に開く
- 膝とつま先が前を向いていることを確認し、膝をゆっくり曲げる
- 前に出した足の太ももが床と平行になったら、ゆっくり足を伸ばす
2~3セットを目安に、片足あたり5~10回ずつ、両足とも同じ回数だけ行いましょう。
初心者は、3のときに太ももと床が平行になる前に身体を起こす「ハーフクスワット」でもOK。最初は体重移動が不安定になりやすいので、身体の前に椅子を置いたり、壁に背中をつけてお尻から降りるイメージで取り入れてみてください。
運動初心者や忙しい人でも取り入れやすいダイエット方法
内臓脂肪燃焼を目的とする週に10メッツ・時以上の有酸素運動は、時間を連続して行う必要はありません。1日に30分の運動を行っても、10分の運動を3回行っても減量に差はないことが報告されているため[3]、まとまった時間が取れなくても大丈夫です。いきなり無理をするのは禁物ですが、ステップに沿って徐々に体を慣らし、より軽やかな毎日を送りましょう!
参考文献
[1]厚生労働省.“運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書” 報道発表資料. https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpqt.pdf(参照2019-08-22)
[2]厚生労働省.“内臓脂肪減少のための運動” e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-002.html(参照2019-08-22)
[3]Ohkawara K, et al. A dose-response relation between aerobic exercise and visceral fat reduction: systematic review of clinical trials, Int J Obes 2007; 31(12) 1786-1797