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ランニングのプロに学ぶ! 楽しいランニングと正しいフォームとは!?|三津家貴也

公開日2023.12.27
最終更新日2024.10.18
読み終わるまで10分

必要なのは走るためのシューズだけとあって気軽に始めやすいランニングですが、それだけに続かない人が多いと言われています。そこで「がんばらないランニング」を提唱するランニングアドバイザーであり、SNSの総フォロワー数が80万人を超えるインフルエンサーでもある三津家貴也さんにランニングの魅力や続けていくためのコツをお聞きしました。

Profile
プロフィール
三津家貴也
ランニングアドバイザー

高校から陸上競技(中距離)を始め、筑波大学、大学院では競技を続けながらランニングについて研究。卒業後は、ランニングコーチ兼陸上競技者として日本選手権にも出場。その後、ランニングの魅力・楽しさを広めたいとSNSをスタート。現在はモデルや非常勤講師のほか、TikTokやインスタグラム、YouTubeなどの総フォロワー数が80万人を超える人気のインフルエンサーとしてマルチに活躍中。
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健康面だけではないランニングの効果と楽しさ

ランニングはジムなどに通うこともなく、道具を一式揃えることもなく、手軽に始められるスポーツです。有酸素運動の代表格とも言え、基礎代謝を上げてダイエットや心肺機能の向上などが期待できるとあって幅広い年代の人が取り組んでいます。そんなランニングのさらなる魅力を広げようと活動している三津家貴也さんは、フィジカル面だけではないランニングのメリットを取り上げます。
「ランニングは体の健康に加えて、心の健康面にも大きな影響があります。その理由として、他者との勝ち・負けがない点が挙げられます。対戦するタイプのスポーツは楽しいけれど、がんばっても負けてしまうことがあります。しかしランニングの場合、挑戦する相手はいつも自分。自分に勝つことはできます。そしてその指標となるのがタイムです。客観的な指標なのでわかりやすく、成長を実感しやすいんです。もちろん、それ以外にも指標はあります。どんなに小さなものでも構いません。いつもより速く走れた。いつもより1km多く走れた。走ろうと思っていた日に走れた。小さな指標を立てながら、自分の努力次第で充実感や満足感、達成感が得られやすいのがランニングです。
加えて、ランニングは取り組んでいる人が多いスポーツですので、繋がりたいと思えばいつでも仲間を見つけることができます。いつも走っているコースでよく合う人と挨拶を交わしたり、ランニングを趣味としているグループに入ってみたり。走行会のようなイベントも各地で行われています。冬のシーズンになれば毎週末、全国のどこかでマラソン大会が開催されているので、そこに参加するのも楽しいでしょう。チームを作ってマラソン大会に参加して、大会後は飲みに行ったり、観光したりする人も多いですよ。誰でも参加できて、皆で楽しめる。それがランニングです」

初心者向け、がんばらないランニング

気軽に始めやすいものの、あまり長く続かないといった声も多いランニング。タイムが縮むことが嬉しく、夢中になり過ぎて停滞期に入った時にしんどさを感じる人も少なくないようです。初めての人も、それなりに長く続けていた人も、さらに長くランニングを続けていくコツをお聞きしました。
「1秒を争うトップ選手は自分を追い込むトレーニングが必要な時もありますが、一般の方はタイムを気にするよりも筋肉、骨格のつくりに沿った理論的な正しいフォームで走ることが大切です。がんばり過ぎずに楽しみながら走ることが長く続くコツであり、同時にタイムが上がっていく秘訣でもあると思います。
これから始める人なら、最初から1時間走ろう!などと気合を入れず、ウォーキングから始めると良いです。まずは外に出ることを習慣化させることが大切です。よく有酸素運動は20分以上するべきと言われますが、20分以上経つと燃焼効率が高まるだけであって、動き始めて1分でも脂肪は燃焼します。今日はダルいなと思ったなら、10分だけ歩いてみる。とにかく1回外出してみる。それが癖づいてくると、がんばらなくても毎週決まった曜日には走るようになってきます。毎日、毎週のルーティンに組み込まれるまでは少し努力が必要ですが、走らないと落ち着かない程度に癖づいたら続くようになると思います。

ランニングを始めるにあたっては、シューズだけは足にあったランニングシューズを用意してほしいのですが、普段使いできるもので良いです。ウエアも日常使いができるTシャツやトレーナーで良いと思います。
走ってみると浮腫みが取れたり、体が絞れてきたりと身体的な変化を如実に感じるので、まずは1ヶ月走ってみてほしいですね」

正しいフォームはお尻から

「がんばらないランニング」を提唱する三津家さん。細かなことは気にせずに、まずは走ってみることをおすすめしながらも、せっかくやるのであれば走るフォームは正しいほうが良いと言います。
「なぜなら、そのほうが楽だし、効率的だからです。ダイエットなどランニングの目的があるなら、より効率的なほうが、結果が目に見えて楽しいです。始めたばかりなら悪い癖も付いていないので、少しでもフォームが気になり出したら、一度、本や動画で正しいフォームを見ていただきたいです。
正しいフォームとは上体は一直線で、股関節、足の付け根から動かしている走り方です。足の裏全体が地面に接地(フラット接地)した時の膝、足首の角度はそのままに股関節から前に進みます。すると後ろ足になった時も膝と足首の角度は変わりません。一方で、地面を足首の力で蹴り、後ろ足の膝を曲げて伸ばす勢いで前に出ていこうとするフォームは、膝が衝撃を吸収しているので足が疲れてケガをしやすくなります。この衝撃となる力は本来前に進む力なんです。股関節で進むというとイメージしにくいので、お尻の筋肉を使って走るよう意識するとやりやすいでしょう」

正しいフォーム

左足裏全体で着地し、膝と足首の角度はそのままに前に進みます。左足が後ろに行き、接地面から離すときもそのままの角度を保ちます。お尻の筋肉で足を動かすイメージです。

NG例

後ろ足で地面を蹴り上げて前に進もうとすると、膝と足首の角度が変わってしまいます。足首が伸びているのは、蹴り上げている走り方です。

走った後の、おうちでの「ながらリラックスケア」

体を動かした日は、体や筋肉をリラックスさせることが大切です。三津家さんおすすめのリラックスケアは、くつろげる室内で横になり、好きなテレビや動画を見たりしながら筋肉をリラックスさせていくことだそうです。
ケアの基本は中枢から末端へ。お尻を使った走り方をすると大殿筋、中殿筋が疲労します。これらの筋肉は奥の方までケアしておきたいことからハンディガンを利用し、太もも、ふくらはぎは手で行います。
ここでもポイントは、がんばり過ぎないこと。「マッサージをしよう」と意気込むと手が疲れてつらくなるので、テレビなどを見ながらの「ながらケア」がおすすめです。

ハンディガンのお尻ケア

リラックスできる状態で横になり、足を曲げて大殿筋を張らせます。大殿筋、中殿筋全体に力を入れずに当てていきます。振動の強さは、自分が気持ち良いと感じる強さで。反対側も含めて10~15分ほど。

太ももとふくらはぎのケア

太ももやふくらはぎに両手を添え、気持ちの良い強さでもみもみと筋肉をケア。筋肉をリラックスさせることが目的なので、細かな指の動きを気にするよりも、気持ちの良い場所を気持ちの良い強さで、全体的にケアするだけで十分です。

個性的な大会もいっぱい!おすすめのマラソン大会

ランニングが習慣化して好きになってきたら、マラソン大会に出場してみるのも良いでしょう。自分がどのくらい走れるのかがわかります。しかし、ここでもがんばり過ぎは禁物。良いタイムを出すために無理な練習を重ねたり、「がんばらなくちゃ」と思ったりしてしまうと、走るのが楽しくなくなってしまいます。

マラソンのシーズンである冬場、ほぼ毎週末は全国各地の大会にゲストとして参加する三津家さんに、おすすめのマラソン大会や楽しみ方を教えていただきました。
「初心者の方なら市民マラソンが参加しやすいですよ。ハーフマラソンもありますし、同僚や友達、ランニング好き同士で一緒に参加して走るのも楽しいです。お揃いのTシャツを着てみたり、大会後に打ち上げと称して飲み会をしたり。遊びのひとつですよね。
個人的に楽しかったのは故郷の『熊本城マラソン』や、一般道からの応援が多い『愛媛マラソン』など。茨城の『水戸黄門漫遊マラソン』はトンネルを通るのですが、そこがライブ会場のようになっていました。それに、評判の高いマラソンは給水や給食が豊富です。その他にもマラソンとピクニックが合わさったマラニックというマラソンもあり、こちらは順位やタイムを重視しません。いちごを食べながら走る『横島いちごマラソン大会』では、いちごを食べて歩いているだけでもOKです。後は、『和歌山ジャズマラソン』など工夫を凝らした楽しい大会もたくさんあります。
地域のおいしいモノを食べるなど、旅行がてらに大会に参加するのも、旅の良いきっかけになります。大会に参加しなくても、旅行先で朝ランニングするだけでも、観光とは違うその土地の雰囲気を感じることができておすすめです。とにかく、走ることを気負わず、楽しんでほしいです。走り続けてちょっとしんどいと感じたら、お休みするのもアリです。がんばらない。それが続けていくコツです」

インタビューを終えて

「がんばらない」といっても、タイムを良くするためのきつめのトレーニングをしないという意味ではないそうです。きついトレーニングでも楽しんでいるのであれば、それはがんばり過ぎではないとのこと。まずは、気負わず始めてみるのが良さそうです。

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