あなたの運動不足度は?セルフチェック&BMI別の運動方法も紹介
- ストレッチ
- ケア
最終更新日2023.09.04
読み終わるまで10分
厚生労働省が定めた「健康づくりのための身体活動基準2013」によると、日本における1日あたりの歩数は過去10年で1000歩ほど減少し、生活習慣病リスクや生活機能の低下も懸念されています。デスクワークで座りっぱなし、リモートワークで通勤なし、休日は家でのんびりゴロゴロ。こういった状況から「なにか運動を始めなくては!」と思いつつ、スポーツはハードルが高いし、ジムへ行く時間もない…と、モヤモヤしている方も多いのでは?今回はそんなモヤモヤを解消するために、まずは今の状態を把握できる簡単なセルフチェックと、日常生活のなかで簡単に取り入れられる運動方法を紹介します。
運動不足がもたらす影響は?
運動量が不足していると、体にはどんな影響が出てくるのでしょうか?
肥満と生活習慣病
年齢を重ねると基礎代謝が減少しますが、若い頃と同じような食事を続けていると、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることにより内臓脂肪がたまります。そして、このような「内臓脂肪型肥満」はやがて糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病のリスク増につながるのです[1]。
筋力の低下による疲労
体力や筋力が落ちることにより、正しい姿勢をキープできなくなりバランスを欠いてしまう、血行が滞って疲労物質がたまり、疲れやすくなる…などの弊害が現れることも。高齢になると、筋力の低下による転倒・骨折から寝たきりになるなどのリスクも考えられます。
精神的ストレスへの影響
適度な運動は、深い眠りをもたらしますが、体をあまり動かさない生活を続けていると寝つきが悪くなり、日中の眠気やだるさ、集中力低下を招くことも。また、運動で精神的なストレスを発散できなければ、達成感や満足感を得られにくいということもあるようです。
まずは今の状態をセルフチェック!
このように、運動不足が続くとさまざまなリスクや影響が懸念されます。まずは、今の状態を知ることから始めてみましょう。
あなたの運動不足度は?
- 日頃から仕事や勉強が忙しく、なかなか運動できていない
- 休みの日は家でゴロゴロしていることが多い
- 立ち上がるときは、机や椅子に手をついてしまう
- 長時間歩くと、腰やひざが痛くなってしまう
- 同世代の人と比較して、歩く速度が遅いと感じる
- ちょっとした移動にも車やタクシー、バスを使ってしまう
- 階段よりもエレベーターやエスカレーターを使ってしまう
- 階段をのぼると途中で息切れを起こしてしまう
- 20分くらいの歩行距離は長いと感じる
- この頃、おなか周りがぽっこり目立ってきた
- 立ったまま、靴下がはけない
上の項目が何個ぐらいあてはまりましたか?該当数のアドバイスを確認してみましょう。
3~5個 | ほぼ健康ですが、もう少し運動をとり入れるとさらにイキイキとした毎日を過ごせそうです。 |
6~8個 | 運動不足気味ですね。なにか継続的・習慣的に楽しんでできる運動を見つけてみては? |
9~12個 | かなりの運動不足です。生活習慣病を防ぐためにも、今すぐ運動を取り入れましょう! |
あなたのBMIは?
BMI(Body Mass Index)は、国際的に肥満度を表す指標として用いられています。日本肥満学会が定めた基準によると、BMIの値が18.5未満で「低体重(やせ)」、18.5以上25未満で「普通体重」、25以上で「肥満」と分類されています。どんな運動を取り入れるべきなのか迷ったときは、このBMIも参考にしてみると良いでしょう[2]。
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)
BMI別 おススメの運動方法
BMIが18.5未満 | タンパク質を十分摂取し、筋肉増強をめざして筋トレを取り入れてみましょう |
BMIが18.5以上~25未満 | ストレッチに筋トレ、有酸素運動など、さまざまな運動をバランスよく取り入れましょう |
BMIが25以上 | まずは低糖質の食事にして、脂肪燃焼効果のある有酸素運動から始め、次に筋トレで代謝アップを行うと、さらに効果が期待できます |
セルフチェックで運動不足発覚!解消するにはハードな運動…?
運動不足を自覚しても、突然ジムへ入会したり、本格的なスポーツを日課にしたりすることは難しいですよね。まずは、日常のなかで取り入れられる運動から始めてみましょう。
厚生労働省では、運動の強度を「メッツ」という単位で示しています。メッツとは、安静時を1としたときと比較して何倍のエネルギーを消費しているのかを数値で表したもので、以下がその一例です。
3メッツ | 歩行や犬の散歩、軽い筋トレ、掃除機をかける、子どもの世話 |
4メッツ | 速歩、パワーヨガ、ゴルフ、自転車、子どもと屋外で遊ぶ |
6メッツ | 軽いジョギング、エアロビクス、階段昇降、家の修繕、芝刈り、雪かき |
8メッツ | 長距離走、クロール水泳、重い荷物の運搬 |
こうして見てみると、日常の何気ない動作や簡単なエクササイズでも運動といえることがわかります。
たとえば、朝1時間ほど散歩をして、通勤は早歩きか自転車で向かいます。仕事中はなるべく階段を利用したり休憩中は時間があれば散歩をし、帰宅後はテレビを見ながらストレッチをします。こうした生活習慣を心がけていれば自然と運動量が増え、運動不足解消につながりそうですよね。
さらに運動量をアップさせるには段階的なプラスαを
日常のちょっとした動作も、運動としてカウントしてよいことがわかりました。では、実際に日常生活でどのようなことをプラスしたら良いか見てみましょう。
まずは「姿勢と歩き方」を意識する
立つ、座る、歩く…という日常的な動作に工夫を取り入れるだけでも、運動量を増やすことができます。
【立ち方】
1.股関節の付け根を後ろに引き、下腹部に力を入れて骨盤を起こす
2.頭頂部が上に引っ張られているイメージで、まっすぐに立つ
【座り方】
1.イスの背もたれは使わず、骨盤を起こして浅く腰掛ける
2.体を上に向かって引き上げるイメージでバランスをキープ
脚を組む場合は、バランスよく左右交互に組むことも大切です。
【歩き方】
1.顔を正面に向けて背筋を伸ばし、おなかに力を入れる
2.足はかかとから着地し、体重移動とともにつま先で地面を蹴って前へ進む
軽くひじを曲げて腕を後ろに引くことを意識すれば、歩幅が大きくなって颯爽と歩けます。
「プラス10分」を心がける
18〜64歳の人は、3メッツ以上の活動を毎日60分(=23メッツ・時/週)以上行うのが望ましいとされています。たとえば、犬の散歩や掃除機をかけるなど3メッツの活動を合わせて1日に60分以上行えば、適正な活動量になります。さらに、厚生労働省は「今より10分多く体を動かす」ことも推奨しています。たとえば朝と晩にラジオ体操第一と第二を取り入れてみるなどのちょっとした工夫で、プラス10分の運動はクリアできるでしょう。
「週2回、30分」の習慣化
上記に加えて、18〜64歳の人は3メッツ以上の運動を毎週60分(=4メッツ・時/週)以上行うことが望ましいとされています。週末にサイクリングや軽いジョギングをする、友人とテニスなど、楽しくてストレス解消にもなりそうな運動を取り入れてみてはいかがでしょうか。できれば週に2回、30分以上など習慣化するのがいいといわれますが、まずは無理のない程度で行いましょう。
65歳以上の人はメッツ内容を問わず、毎日40分以上の活動を行いましょう。朝夕の散歩やガーデニング、グランドゴルフなど楽しみながら体を動かせば無理なく継続できるでしょう。
なお、これらの基準は健康診断での数値が基準範囲以内の人向けです。検診の結果次第では、かかりつけの医師に相談して進めるようにしてください。
ほかにも日常生活で工夫できるポイントはたくさん!
運動を増やすコツは「日々の動作をちょっと変えてみる」ことです。たとえば、以下のような動作を取り入れてみましょう。
- 日頃から歩数計を持ち歩いてチェックする(スマホやアプリでも簡単にチェック可能です)
- 移動はマイカーやタクシーよりも交通機関を利用し、エスカレーターではなく階段を使う
- 通勤や隣町へのショッピングに自転車を使う
- 電車やバスのなかでは座席に座らない
- 目的地へはひとつ手前の駅や停留所で降りて歩く
- 仕事中は遠くのトイレを使う、軽い体操を取り入れる
- ランチタイムはなるべく遠くの店に行き、たくさん歩く
- 掃除や洗濯、庭の手入れはエクササイズ感覚できびきび行う
- ラジオ体操や近所への散歩を習慣にする
- TVを見ながら、家事をしながらで筋トレやストレッチを行う
ただし、体調が悪い時は無理をしないことも大切です。足腰に痛みがある人、持病のある人は、医師や専門家に相談してから取り入れるようにしてください。
運動量は段階的に無理なく増やそう
本格的なスポーツを始めなくても、普段の生活をちょっと工夫するだけで運動不足の解消につながります。散歩や階段昇降などから始めて、体を動かすことに慣れてきたら家でできるストレッチや筋トレを取り入れてみましょう。さらに運動が楽しくなってきたら、週2回、30分の運動を習慣化することもおすすめします。無理をせず楽しみながら始めてみてください。
[2]スマート・ライフ・プロジェクト 事務局(厚生労働省 健康局 健康課). “毎日+10分身体を動かそう!チャプター2”健康寿命をのばそう!http://www.smartlife.go.jp/about/web_learning/walk_chapter2/(参照2019-07-23)