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スライスしてしまうのは、身体の柔軟性が足りていないから
アマチュアからベテランまで多くのゴルファーを悩ませる「スライス」。スライスは、スピン軸が利き手側に傾き、ボールが曲がって飛んでしまう現象です。
ライザップゴルフのトレーナー安積さんは、「スライスしないためには、スイング軌道が大切。そして良いスイング軌道を作るには、身体の柔軟性が鍵」と話します。
スライスしにくいスイング軌道は、クラブヘッドが内側から入って内側へと抜ける「インサイドイン」軌道ですが、身体の柔軟性がなければ、適切なアドレス(姿勢)が取れず、回旋運動が十分に行えないため、インサイドイン軌道で打つのは難しいのです。
スライスしないためには、柔軟性のある身体作りが重要。今回は安積さんに、柔軟性を高めてスライスを根本から改善するためのケアについて聞きました。
cause1. 手首の柔軟性
スライスしないためには、フェース面がスクエアに向いていることが前提です。そのフェース面に直結するのが、グリップ、手首の柔軟性です。
スライスしにくいグリップは、左手を内側に回旋させ、フィンガーグリップと呼ばれる指で握るもの。フェース面をコントロールしやすいグリップですが、手首の自然な回旋が求められるため、柔軟性が必要になります。手を手の甲側に90度ほど曲げることが難しければ、手首が硬くなっている可能性があります。
cause2. 腰回りの柔軟性
ゴルフ上達には、適切なアドレスを身につけることも重要。適切なアドレスを取るには、腰回りの柔軟性が必須です。手を組み、腕をあげた状態で、上半身を左右にそれぞれ45度ほど傾けることが難しければ柔軟性が足りていない可能性があります。
cause3. 肩・腕の柔軟性
インサイドイン軌道で打つには、肩や腕の柔軟性が求められます。肩・腕の柔軟性があれば、切り返した際シャフトをシャローにでき、クラブヘッドがインサイドから入っていくため、球をしっかりと捉え、スクエアに向かってまっすぐな軌道を描けます。
肩・腕の柔軟性は、腕を斜め45度へ上げてチェック。上げにくいようであれば、肩周りの可動域が狭くなっている場合があります。
スライス防止につながる手首のケア
まずは手軽にでき、効果があらわれやすい手首からケアしていきましょう。ラウンド前・練習前にケアをしておくことで、手首を回旋しやすくなり怪我防止にもつながります。
ケアするべきは、手の甲側の腕。ここにアプローチすることで、グリップの際、手を回旋しやすくなり、フェース面をコントロールしやすくなります。
使用時間:左右30秒ずつ、計1分
POINT:優しく当て、腕に負荷がかからないようにしましょう
背中へのアプローチでスイングしやすい身体を
次に、背中の筋肉へアプローチしていきます。
まずは、姿勢に関わる筋肉である腰方形筋。腰方形筋の柔軟性は、背骨を適正な形で保つために必要なもの。腰方形筋が硬まっていると、適切なアドレスが取りづらく、飛距離・コントロールに悪影響を与えるだけでなく、大きな怪我にもつながりやすくなります。
腰方形筋をケアし、アドレスとスイング軌道の改善を目指しましょう。
使用時間:左右1分15秒ずつ、計2分30秒
POINT:ゆっくりと縦に動かし、腰方形筋全体をケアしていきましょう。
肩周りにアプローチして、インサイドイン軌道を手に入れる
スイング軌道に大きく影響するのが肩周りの状態。ここをケアすることで回旋運動を行いやすくなって、スイング速度があがりボールにエネルギーを伝えやすくなる・スイングがインサイドから入りやすくなります。
ケアを行う箇所は、脇下にある前鋸筋から肩甲骨、ローテーターカフまで。身体を傾けながら当てることで、より効率よくケアすることができます。
使用時間:左右30秒ずつ、計1分
POINT:ローテーターカフに当てるときは頭部に近づけすぎないようにしましょう。
美しいアドレスは、下半身のケアから
上半身の後は、下半身のお尻→太もも→ふくらはぎの順にケアしていきましょう。
お尻付近の筋肉が硬いと、股関節を屈曲したアドレスが取りにくくなります。股関節を屈曲できないアドレスは、身体を回旋しづらいため、スライスしやすい状態です。また、太ももとふくらはぎには、身体を適切に前傾させるために必要な筋肉が集まっています。下半身の筋肉は身体のバランス感覚に大きく影響するため、日々意識してケアする必要があります。
使用時間:左右1分ずつ、計2分
POINT:腰に近いところから足の付け根あたりにかけて動かしましょう
腕周りの柔軟性を高め、スイングに力を
スライスしにくいスイング軌道を作るには、腕周りの筋肉をケアすることも非常に重要です。肩周りの筋肉と同様に、腕周りの筋肉をリラックスさせることで、スイングをコントロールしやすくなり、インサイドイン軌道につながります。
鎖骨の下にある鎖骨下筋をケアしたあとは、二の腕の外側を、上から下にかけて当てていきましょう。
使用時間:左右1分ずつ、計2分
POINT:骨にあたらないよう、軽く当てるようにしましょう
習慣的なケアで、スライスしない身体に
スイング練習に加え、自宅やラウンド前のケアを推奨しているライザップゴルフ。安積さんはその理由について以下のように語ります。
「身体の柔軟性を高めることで、回旋動作を行いやすくなり、インサイドイン軌道で打ちやすくなります。意識的に筋肉や関節のケアを続けることで、スライスの改善にもつながるでしょう」
手で行うのも良いですが…と言って安積さんが取り出したのは、ダブルヘッドガン。
「ダブルヘッドガンを使えば、手指では届かない深い場所にある筋肉郡へアプローチすることができます。通常のストレッチなどではアプローチしにくい箇所へも使用できるので、より効率よくケアを行えるようになるでしょう。身体が硬く、回旋運動が上手くできないという方は、一度試してみてもいいかもしれません」